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プロローグ

 これは俺がまだ小学生だった頃の話。


 あの頃の自分は今の自分とは似ても似つかない、どこにでもいるような平凡な少年だった。


 ごく普通の家庭で育ち、ごく普通の友人達に囲まれ、ごく普通の少女に恋をした絵に描いたような人生。


 でも少年にはたった一人だけ、自分の心の内を晒け出せるとても仲の良い幼馴染の少女がいた。


 家も近所だった2人は毎日飽きることなく日が暮れるまで遊んだ。

 公園で泥遊び、家でゲーム、あるいは森の探検なんかもしたっけ。


 いつしか少年は、その少女に淡い感情を抱くようになっていた。






 だが少女のたった一度の裏切りが少年の心を酷く歪めた。


 ある日突然、少女は少年に何も言うことなく学校を去ってしまったのだ。

 無論、転校したという意味だ。


 後に聞いた話によると、彼女は両親の仕事の関係で引っ越さなければならなくなったらしい。


 仕方がないのはわかっている。

 でも、それでも少年はその少女を恨まずにはいられなかった。






 それからだった。

 他人の本音が聴こえるようになったのは。


 最初はただの勘違いだと思っていた。


 だが日々が過ぎ去って行くうちにその思い込みは確信へと変わっていき、誰かの言葉にならない本音が次々に頭の芯まで響き渡るようになる。


 その後の少年の人生はあまり楽しいものとは言えなかった。


 家族も、友人も、あの女の子でさえも。


 自分の周りは嘘ばかりで固められた世界だったのだと知ってしまったから。


 その時、少年の中で何かの枷が外れた。




 "ならいっそ利用してやろう"


 もう騙されない。

 もう信用なんてしない。


 他人の嘘と本音を見極めて、今までの自分を全部嘘にして、新しい本当の自分を作り直す。


 ここから始めるんだ。


 新しい自分を。

 新しい湊 優馬という人間を。



 数年後の桜が咲き乱れる出会いの季節。


 高校生になった少年は本物の心を持った少女に一目惚れすることになる。

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