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出会いと別れ
ある日、山で「パーン」という音がした。
その音は、静かな山に木霊した。
山に住む全ての者たちは、音がした方に耳を向け、目を向け、体の向けると音がした方から
もう一度「パーン」という音がした。
山に住む者たちは、しばらく動けなかったが徐々にある者は、空を飛び又ある者は、木や岩に
隠れるようになっていった。
しかし、岩の上に一匹だけ隠れようとしない狐がいた。
その狐は、善狐(神に仕える狐)である白狐だけは、隠れようとせずにじっと音の鳴った方を
見ていました。
しばらくすると音の方から風が吹いてきました。
その風には、みっつの匂いがありました。
ひとつは、木が焦げる匂いでもうひとつは、血が焦げる匂いそして後ひとつは、人間の匂い。
白狐は、その人間をずっと見ていました。
我が子を殺した人間をずっと見ていました。