第五章 ゲストキャラ
カロンの両親は、行商をして生計を立てている。その旅の目的は、世界の動向を把握し情報収集して石の一族に提供する事などである。必要になることは少ないが。ちなみに、情報収集の依頼主は神々である。ちゃんとgive-and-takeで、やっている。
ワタリ 種族は、人間。
元石の一族で精霊使いのカロンの父。年齢は、石の一族のとして生きていた分を含めて五千二百四十八歳。人としては四百三十年ほど生きている。肩が隠れのほどの長さがある漆黒の髪は、軽くウェーブが掛かっている。顔は整っているが凡庸な容姿。その中で一番の特徴は、紫の瞳。
石の一族として生きているあいだの九百年ほど、人間のように行商をして過ごしていた。行商人として世界を回っていたとき、時折、人と道行きを共にすることがあり、そのうちの一人から、『ワタリ』の名前を贈られる。名前を付けられて以降、一族からの呼び名が『紫眼』から『名持ち』と変わった。人間になってからは一族から『ワタリ』と名前で呼ばれるようになり、『名持ち』は、館様の伴侶に付けられた。
セリンとは、風の守人の里で出会った。風霊族への届け物や、村への商売などを繰り返しながら、セリンを含め交流を深めていく。
そんな中、風霊族の住む山の麓のマナ溜まりが、マナ喰らいによってマナが涸渇したため、魂の宿る石を砕き復活させ自身は死者の国へと降ったが、道行きの途中にある死者の川を渡っている間に、神々から願いを(ある種強引に)叶えられ、人として生き返った。その際、石の一族として生きていた時の経験がそのまま人間の体に経験の積み重ねとして引き継がれたため、世界で敵うもの無しの強者となっている。
しかし、石の一族からそのまま人間へ転化したため、考え方や行動が石の一族のままである。人間の体の限界カツカツまで動き回ったり、いろいろとやらかすために、セリンの気苦労が絶えない。
セリン 種族は人間。
強い『覚り』の魔法を持っている妖術師で、カロンの母。そろそろ五百才になる。やや花のある整った顔をしているが、彼女も人の中に埋もれる容姿をしている。ストレートの赤茶の髪は腰まであるが、普段は、ポニーテールにした上で、それをさらに三本の三つ編みにしているので、見た感じは、短い。深い青の瞳は、カロンに引き継がれている。
言葉を話せるようになったとたん、魔法で知った周りの人の考えを口にし始めたため、恐ろしくなった両親に三歳から四歳の頃に捨てられた。
幸いに、捨てられて数日後に行商人をしていた四人家族に拾われる。養父母には、魔法を持って生まれた六歳になる双子の男子がおり、丁度守人の里に向かっているところだった。セリンを自分達の子供として扱い、セリンもまた彼等を自分の家族として懐いた。
風の守人として役に就いてから直ぐにワタリと出会ったが、初対面の印象は最悪だった。行商で立ち寄る彼と交流を深めていくにつれて、印象を変えていった。
風の精霊族の子供が誘拐され、双子の兄達とワタリとで救出に向かったときに、『石の一族』の片鱗にふれ、マナ溜まりの涸渇で、本当の役割を知った。
館様の伴侶の名前を一緒に考えたうちの一人。あとの二人は、彼女の双子の兄達である。
彼女が、石の一族について一番驚いた事は、『性別が無い・人の肉体を保たない』という点だったとか。
カロンが腹に宿った時に、神々より子供が石の一族だと告げられたのが、石を砕いたワタリと再会の次に驚いた事らしい。カロンを『石の一族としての意識と知識』を『覚り』の魔法で封じ、少しずつ解放しながら育てた。そのかいがあり、カロンは人としての振る舞いを自然にできるようになっている。