平日ド真ン中の午後
急に学園物が書きたくなったのです。
勢いで投稿開始したため先行きが不安なところはありますがお付き合い頂けたら嬉しいです。
まだまだ経験が浅いので作者の成長も見所の一つとなっています。
誤字、脱字、おかしな日本語の報告と感想を待ってます。
春眠暁を覚えずとは言うものの、個人的には春は昼寝の方が気持ちがいい。
春の暖かく柔らかな日差しの下、見上げれば果てなく蒼い空が何処までも広がっている。ついうとうとしてそのまま心地よい眠りにつく。実に素晴らしい。
此処、国立異能人材高度育成学園校舎棟の屋上もまた、俺にそうした素晴らしい眠りを提供してくれる素晴らしい場所である。
屋上に続く扉には鍵がかかっており人が来ないし、解放するつもりが無いからだろうが柵も無く開放的だ。それに校舎は四階建てで屋上からの眺めは中々のもんだ。
見上げれば果てなく続く蒼い空だが、見下ろせば我がクラスメイト達が第一グラウンドで体育の授業を受けている。どうも今日は近く行われる体力テストの練習みたいだ。
こんな昼寝日和の日によくやるもんだ。ただでさえ水曜日でやる気もわかないというのに。
「やっぱりこんな日は昼寝に限るよなー。やる気わかんし」
「ほう、それで入学して二日目にしてサボタージュとは良いご身分だな。竜上游」
「はぅあ!」
こここの声は!腰まである艶やかな長髪、モデル顔負けの抜群のプロポーション、カッコいい美人と言うにふさわしい整った顔立ちによって男女問わず新入生のテンションを爆上げし、
「ふむ、どいつもこいつも腑抜けた顔をしてるが……まあいい。所詮はこの程度だろう」
の一言で急降下させた紫雷華奈先生!
「どどどどうして紫雷先生はここにいらっしゃいますんでしょうか!? 今は先生の担当の体育の時間では!?」
「なに、出欠を確認したらこの私の授業に出ない不届き者がいたんでな。探しに来たのだ」
んなこたぁ分かってんだよ!出欠確認すりゃあ一人足りんことくらい猿でも気付くわ!クソッ!まさか先生が一人のサボりのために探しに来るとは思わんかったがそこはいい。
なんで見つけられた?自慢じゃないが俺は1日や2日で人と仲良くなれる人間じゃない。当然此処に来ることは誰にも言ってないし見られてもない。それに拙いながらも隠蔽の結界も張ってるんだぞ。生半可な奴にはバレないはずなのに。
「なかなか頑張って隠れていたようだが所詮は新入生だな。すぐ見つけられたぞ。さあ授業に出て貰おうか。私の授業をサボろうとしたんだ、ただで済むと思わんことだな」
「わっ分かりましたよ!自分で行きますから!そんなに寄って来ないで下さいよ!」
先生が寄って来るのに合わせてジリジリと後退る。あと少し、もうちょい……足が屋上の縁にかかる、ここだ!
屋上からバックステップで飛び降り、屋上の縁に手をかけて体をサーカスの空中ブランコをこぐように使って、万一に備えて空けておいた窓から四階の教室に飛び込む。
「だァれが素直に体育の授業になんぞ出てやるか!どうしても授業に来させたいなら捕ま…え……て………」
「なかなか良い発想と動きだったぞ。もっとも、私の授業をサボるにはまだまだ足りんがな」
信じられない事に先生が俺の目の前に立っている……。嘘だろ。俺が飛び降りた時は先生確かに驚いた顔してたぞ。確かに不意をうったはずなのに……速すぎません?
「うぐぇっ」
無力だ。首根っこを掴まれずるずると引き摺られていく事に対して何もする気が起きない。もはや俺に出来るのは先生が授業で俺を殺さない事を祈るのみだ。
「あだっ!痛いなぁ!先生階段を引き摺ってくのはまずいで痛ぁい!」
訂正。階段の降り方に抗議も出来た。