ノイレのシロとクロ
「起きてよ!!シ〜〜ロ!!あさだよ!!」
「ん〜…まだ夜じゃないか…暗いし寒いし…」
「寝ぼけてるのシロ?暗いし寒いのは当たり前でしょ!だって洞窟だもん!ほら起きて!」
「洞窟…そうか…洞窟か…」
くあ〜っと口を開けて大きなあくびをしながら私は身体を起こし、ピチョン…と水の落ちる音を聞きながら寝ぼけ眼な自分の意識をハッキリとさせていく
「はいシロ、これ飲んで!」
そう言ってクロは葉っぱで作ったコップのようなものに水を入れて持ってきた
「これ…クロが作ったのか?上手だな…」
「ほんと?あのねあのね!シロがくれた本に載ってたから真似て作ってみたんだ!シロが喜んでくれるといいなって思って」
「そうか…ありがとう、嬉しいよ」
「えへへ〜…」
クロが作ってくれたコップから水を飲む
何時もよりも美味しい気がしてつい頬が緩む
「ありがとうクロ、何時もの何倍も美味しい」
「褒め過ぎだよシロ!」
ニコニコとしているクロを見ていると何度も思う
どうにかして彼が自由に街に出て人目も気にせず遊んで…そしてお腹いっぱい食べて…安心して眠れる場所を手に入れる事はできないのだろうか…
いや、それは無理だ分かっている事じゃないか…
国が…世界が…変わらない限り私達は追われ続ける
そうそれは今も昔も変わらない…きっとこの先も…
「シロ…?怖い顔してるよ…?」
心配そうにクロが私の顔を顔を覗いていた
「すまない、気にしないでくれ」
「ん!分かった!」
グズグズ考えていても仕方ない今はとにかく生きる事が大事だ
いつあの男の追手が来るか分からない…だから出来る限り強くならなくてはならない
クロを守る為に
「ねぇシロ、今日も特訓するの?」
「あぁ、私は強くなりたいからな…そう心配そうな顔をするな大丈夫だ」
「だってシロはすぐ怪我するんだもん…この前も…昨日だって!尖った岩に腕ぶつけて…血が…」
そう言ってクロが今にも泣き出しそうになる
「大丈夫、だってクロがまた治してくれるだろ?いつものおまじないをしてくれれば私はすぐ元気になるからな」
「でも………うん…シロは…分かった…無茶しないでね?僕じーーーー!って見張ってるからね!」
「フフ…あぁ無茶はしないと約束しよう」
そう言うとクロは納得したのかうんうんと頷くと私達の少ない荷物を持ち『もっと広い所の方がいいと思うよ!』と言いながら私の手を引き広い地底湖の場所へと移動した
「ここなら尖った石も少ないし…いっぱいキレイな石もあるし…薬になりそうな草まである!水も綺麗!ねぇシロ!次はここに居ようよ!
「分かったクロ」
クロは荷物を下ろすと草を摘んでまたコップを作り始めた
私も鍛練を始めよう
「はぁぁ!!」
手にクロの背丈程ある石の棒を握り全力で振り下ろす
「せいっ!!はっ!!」
速くもっと速く
「くっ……はぁっ!!!」
たとえ…この四肢がこの身体が壊れようともクロを守る
その為には敵を相手を圧倒する力が無ければならない
何度も何度も一心不乱に石の棒を振る
ガンッ!!
そんな音がしたと思うと手に握っていた石の棒は砕けていた
「っはぁ…はぁ…もう…壊れたのか…っ…」
まだだまだ足りない…もっともっと強くならなければいけない
このままでは守れない
また石の棒を探す、できる事ならなるべく重い物を
《ノイレ…※※※※の強い意思を感知……願いを生成します》
「!??」
それは初めて聞いた世界からの言葉だった