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チュートリアル戦闘


 さて、開けっ放しの戸をくぐりギルドに入ってみた。そこには酒場然とした座高の低いテーブルと丸太椅子が雑然と並んでいた。最奥にはクエストらしき紙媒体が貼り出されている掲示板があり、その左右にカウンターが構えられていてキャラクリエイトのときにみた美人魔族受付嬢さんとは傾向の違う美人受付嬢さんがいた。余談だが俺から見て左は赤髪獣人系ちっぱい受付嬢さん、右は青髪竜人系きょぬー受付嬢さんである。


「ここがギルドか、ワクワクしてきたな」


「おう、おっちゃんも二人の美人受付嬢さんに年甲斐もなくドキがムネムネするぜ!」


 いやおっちゃん、俺はそこに言及したわけでは……。まあたしかに、二人とも魅力的なボディをしている。俺の鼻の下は決して伸びていない。伸びていないはずだ。


「あら、あなたたち新顔さんね?」


 俺とおっちゃんが受付嬢さんを遠巻きに眺めていると、横から聞き覚えのある女性の声がかかった。顔を向けると、キャラクリエイトの時に見た美人魔族受付嬢さんである。


「おう、おっちゃん初来店だぜ。名前はタナカって者や。チュートリアル受けられるか?」


「あ、俺もチュートリアルをやりにきました。レイです」


 俺たちの”チュートリアル”というキーワードを拾って、美人魔族受付嬢さんの目が光った。


「やっぱりそうなのね! それじゃ、体を慣らしてもらった後、魔王軍入団テストの実技試験をするわよ!」


「おっけーや! おっちゃんの本気を見せたるで!」


 おっちゃんはテンション高いな。なんだか俺も負けてられない気分になってきた。そして俺たちは美人魔族受付嬢さんに連れられて、地下の闘技場にやってきた。


「こちらの地下闘技場はいつでも開放されているので、ご自由にお使いください!」


 今思ったんだが、受付嬢さんのテンションも高い気がする。キャラクリエイトの時はもっと穏やかだったような気も……。


「お二人とも希少種族ですよね! つい珍しくて興奮してしまいました! お二人の実力に私大変期待してます!」


 ああ、そうゆうことだったのね。レア種族だったから多少好感度に補正がかかっていたのかもしれない。ここでも初回限定盤購入者はアドバンテージをもらえるのか。さすが神運営。


「おっちゃん、ラジオ体操してからやるわ。兄ちゃん先にチュートリアル受けときんさい」


「はいよ、おっちゃんサンキューな」


 おっちゃんの気遣いで俺が先にチュートリアルを受ける。……これ、生け贄とかじゃないよな? フレンドだもんな?


「ではレイさんから始めますね!」


 受付嬢さんからポーション系アイテムは飲んだりかけたりすると使用できることや、素材アイテムは質量に準じてブロックで単位付けされていて嵩張るので道具屋でマジックバッグを買うことを勧められた。その後、受付嬢さんから実技試験なるものを受けるはずだが?


「レイさんは鬼人系の方なので、闘士型仮想人界兵士を倒してもらいます!」


「ほう、そうゆう感じか。おっちゃんの番が楽しみだぜ」


 受付嬢さんの掛け声の後、俺の前方5メートルの所に光の束が舞い降りて人型になった。真っ白でのっぺりとした無手の人界兵士(仮)さんの登場だ。


「手段は問わないので、こちらの敵さんを倒してください! それでは、よーいどん!」


「兄ちゃん頑張れー! おっちゃんにもっとかっこいいところ見せてくれー!」


「おうっ!」


 おっちゃんの謎の応援はともかく、俺と人界兵士はひとっ飛びで距離を詰めた。とりあえずは様子を見るか。マージンに余裕を持たせて相手のラッシュを避けていく。


「まあ、避けられなくはないが。……おっと、相手に目がついてなくてどこを狙ってるか曖昧だな」


 そう、人界兵士さんには目が付いていないのである。というか顔パーツがゼロなのである。でもそこそこ鋭いブローが飛んでくるあたり無情である。

 だが、避けられないことはないので30回くらい避けたところで目が慣れて相手のパターンが見えてきた。余裕が出てきたので反撃に出るとするか。


「右ストレートの次は、隙がでかいんだよな。おらよっと」


 人界兵士の大振りの右を最小限の動きで躱し、後ろに回り込んで人界兵士の頭を両腕で上下にホールドして一思いにねじる。骨が折れる音と筋線維が千切れる音が少々グロいが、確殺である。人界兵士さんは顔が背面を向いたまま後ろに倒れ、床にキスをして光の粒子になって拡散し消えた。


 そして今思った。あ、アビリティ使ってねえ。でも光の集合体みたいなもんだったし、吸血できる相手じゃなかったかもしれないしな。次に使おう。忘れないようにしないとな。


Sys:基礎Lvが上がりました。Lv1 → Lv2

Sys:称号「期待のエース」を獲得しました。


 よし、初戦闘勝利はレベルが上がるのか、なんて良心的なんだ。さすが神運営。そして称号獲得か、効果とかあるのか?


「さすがですねレイさん! まさか一撃で倒してしまうなんて! しかも無傷で!」


「おおー。兄ちゃんなかなかの腕やな。おっちゃんも負けてられねえぜ!」


 なるほど、初戦闘で無傷かつ一撃でトドメを刺した場合に獲得できるのかもしれない。さて、効果はどうやって見るのだろうか、『ステータス』かな。


名前:レイ (♂) Lv2

種族:吸血鬼

アビリティ:『吸血』

所持金:1500G

称号:「期待のエース」


「期待のエース」:初戦闘から優秀な成績を収めた者に付けられる。

      効果:NPCの好感度に補正(小)


 なるほど、あって損はないが無くても支障がない範囲なのかもな。しかし、獲得できるものなら率先して取りに行くべきかもしれない。


 さて、次はおっちゃんの番である。

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