表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

1.キャラクリエイト


 『魔王軍オンライン』というVRMMOの正式サービスが今夜20時にはじまる。このゲームは、人類が生活する人界と呼ばれる領域を侵略する魔王の軍勢に加わり魔に属するプレイヤーたちが覇を競う異色のダークファンタジー系RPGである。


 王道のRPGに飽きてしまった俺だったが、このタイトルの魔王軍に所属して人界を襲うダークな感じに心打たれてしまった。


 予習では、アンデッド系や鬼系、魔族に獣人、竜人なんかも選択できるらしい。俺は前衛で敵をひたすら屠るプレイがしたいので、いい感じのハマリ種族が見つかるといいな。


 俺が予習をするほど夢中になってしまったこのゲーム、初回限定盤にだけ特別な特典がついているという俺得情報をどこぞのゲーム雑誌で特集していた。なんでも、キャラクリエイト時に使用できるアイテムで、“レア種族解放キー”というものだそうで、ゲームを進めていくと解放されるはずのレア種族をゲーム開始時から選択することが出来るらしい。


 俺は思考する前にポチッた。無論、初回限定盤をだ。多少ケタが違っていたが、全然気にならなかった。こんなに面白そうなタイトルにお布施をしなくてどうする。というか、”レア種族”が気になりすぎる。


 色々と妄想にふけってしまったが、あと15分で正式サービスがはじまる。だが、ユーザーに優しい運営様は10分前になったらキャラクリエイトのみ実施できるのである。もうこの時点で俺はここの運営を神認定したい。いや、もはや既に神に違いない。


 あ、もう10分前だわ。楽しみなことだと時間の流れがなんとやらだな。さっそく起動しますかね!俺は横になってからHMD型のVR機器を装着し、電源ボタンと読込ボタンを順に推した。


「boot……魔王軍オンライン」


 機械音でソフトの起動を通知されてすぐ、視界がホワイトアウトしていく。いよいよ魔王軍オンラインの中に没入していくぜ!





◆◆◆ LOG-IN ◆◆◆


「ようこそ、こちら魔王軍人事部です。あなたは入団志望の方ですね」


「え? あ、はい」


 視界がクリアになると真っ白な空間にカウンターがあって、目の前に美人系魔族女性がいた。青肌に巻き髪巻きヅノのTHE魔族って感じだ。美しい。


「ありがとうございます。では、こちらの用紙にあなたの情報をお書きください」


 そう促されて受け取った用紙を見るとまた視点がホワイトアウトした。すぐにクリアになると、真っ白な空間には現実の俺にそっくりな容貌のマネキンがいた。


「ほほう、いよいよキャラクリエイトのはじまりだな? どれどれ」


 容姿に関して次々に項目が出てくるので消化していく。黒髪に赤目でいいかな?なんかダークな感じ出てるんじゃないか?(主観)


名前:レイ

性別:男性  ※変更できません

種族:選択してください


 とりあえず名前は決まりだ。俺の名前が黒田礼司なので下の名前を縮めてレイにする。友達からの呼び名も大抵これだ。逆にこれ以外で呼ばれても反応できないかもしれないしな。


 そして、待望の種族選択である。大きく分けて4種類ある。


魔人族:スタンダードな魔族。汎用性に優れる。

アビリティ『回復』『使役』『制作』『代償』『変化』『魔法』『魔力』


屍人族:アンデッド系統の種族。様々な派生があり個性が出やすい。

アビリティ『合体』『強化』『擬態』『再生』『潜伏』『倍化』『魔法』


鬼人族:鬼の身体能力おそるべし。その拳は岩をも砕く。

アビリティ『覚醒』『気功』『強化』『強靭』『俊敏』『治癒』『武芸』


竜人族:竜になることもできる誇り高き種族。空も飛べる。

アビリティ『強靭』『硬化』『俊敏』『覇気』『飛翔』『咆哮』『竜化』


獣人族:多彩な部族があり、特定の者は獣化が出来る。モフモフ。

アビリティ『嗅覚』『強化』『俊敏』『潜伏』『聴覚』『変化』『武芸』


 といった感じだ。説明文はふざけている風が否めないが、このゲームの特色であるアビリティが着目ポイントだ。それぞれの種族に7つあるアビリティをレベルアップや特定アイテムを使用し、任意の順に解放して強さを極めていくというシステムである。


 見た感じ、魔人族は魔法特化で、獣人族が斥候特化で、屍人族は魔法もできる斥候な感じで、残りの鬼人族と竜人族が剛と堅の戦闘種族って感じと思われる。竜人族の『竜化』や『飛翔』に興味がそそられるが、鬼人族の『覚醒』や『気功』が俺の中2ゴコロをくすぐっている。(もう大学生だからいいかげん卒業しないとアブナイのはわかっているんだがな)


「俺的にはやっぱり鬼人族がハマるんだろうな、まあ、このへんは悩まないな」


 鬼人族を選択するとポップアップが出てきた。「あなたはレア種族解放キーを所持しています。使用しますか」と聞かれたが、わざわざ初回限定盤を買ったのにここで拒否するモノ好きなんているのか? 俺は息をするように許可ボタンを押した。


「――キャラクリエイトが終了しました――」


 またホワイトアウトした。先ほどのカウンターと美人魔族だ。美しい。てか、いちいちホワイトアウトしないでほしい。目がやられそうだ。


「用紙をお預かりします。……ふむふむ、なるほど。”吸血鬼族”のレイさんですね。ようこそ魔王軍へ、我々はあなたを歓迎致します!」


 あっ、こんなタイミングで教えてくれるわけね。吸血鬼かあ。俺の中2ゴコロがまた刺激され……。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ