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新スキル

 私は新スキルを得た喜びのまま、詳細を確認する。


『見識:認知、知覚能力にプラス補正。』


「う、うーん。なんだこれ?悪いことは無さそうだけど、良くわからない説明だな。」


 私はそんな独り言を呟きながら回りを見る。

 何の気なしにやった行動だったが、そこでスキル獲得前との差違に気づく。


「あれ、なんか見える世界がくっきりしている?」


 私は改めて、回りを見回してみる。


 漫然と景色を見ている限りはスキル獲得前と同じ景色だ。

 しかし、一ヶ所に集中すると、そこにフォーカスしたように、くっきりと認識できるようだ。


 例えば、あの草。

 普通に見ているときはただの風景だし、ただの草にしか見えない。

 しかし、良く見ようと意識して見ると、その草の部分だけ少し解像度が上がるような感じになる。

 なんと言うかそこだけ、見える情報量が増えると言うのか。


 あの草だと、良く見ようとすると、シロツメクサの特徴があるなってのがわかるぐらい、見え方が変わる。


(これは、すごいな。でも、良く良く考えたら、今まで自分が見ていたU・S・Oの世界は運営が作った本当の世界の姿から、情報量を落とした世界を見せられていたってことだよな?)


「そんな所に拘る前に、やる仕事があるだろ、運営っ!」


 気づいてしまった事実に、思わず叫んでしまう。


 夜明けすぐの訓練所には、幸い他に人がいなかった。おかげで奇異の視線を向けられることもなく、私は訓練所を出る。


「さてさて、さっそく新スキルの効果を試してみたいな。」


 私は手を打ち合わせ、独り言を呟く。


「やっぱりスライムのとこ、いっちゃう?」


 私は門に向かって歩き始めた。


(あっ、今日はブリュンさんじゃないんだ。)


 別の兵士が立つっている。


(ブリュンさんに、お礼を言いたかったんだけど残念。)


 私は見知らぬ門番の兵士に軽く会釈だけし、門に向かって、お石様を構える。


 そのままオーブに触れる。


 外に転送されると、さっそくスライムが現れる。


(おいおいおい、全然、違うぞ!)


 今回はスライムが飛びかかってくる前に、なんと発見している。


 転送されてきて、いくつかの藪を順に注視していくと、途中でスライムが潜んでいるのが、草の隙間越しに見えていたのだ。


(前は藪とか、完全に透過率0の遮蔽物だったよな。)


 そのままスライムを注視する。


 そこには、やはり全く異なるスライムの姿があった。


(なんだこれ、なんだよこれ。スライムの核か。前は単なる半透明の丸い粘体だったのに、核も見えるし、形状の変化も見えるぞ。あっ、形が変わる!くるっ!)


 飛びかかってくる動作が見えるスライムに、何度も何度も繰り返し練習してきた突きを放つ。


 完全に見慣れた自身の突きのモーション。

 予測できるスライムの動き。

 そしてやはり見える、いかにも狙って下さいと言っているようなスライムの核。


 すべてが揃った私の突きは、吸い込まれるようにスライムへ、そしてスライムの核へとヒットする。


 想像以上に軽くて、そして爽快な手応え。

 パーンという高めの音を立てて、スライムが突きの一撃で破裂する。


 私は突きを放った姿勢のまま、呆然とする。


「レベルも、攻撃力も変わらないのに、ここまで違うのかっ!」


 その後も、次々と現れるスライム達。

 途中何度か危ない場面はあれど、ほとんどのスライムを突きの一撃で破裂させ続けていく。


 そうして、私は待望のレベルアップを迎えることとなった。

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