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初めてのVRMMO

やっちまったぜ!

つい、別の作品で詰まってて書いてしまった。

 人生初の、VRMMO。


 ログインして、まず始めに感じたのは風。

 頬を撫でる風に、花の香りがする。

 広場には花壇が並び、ちらほらと人の姿が見える。


 否応もなく、昂る心。


「しばらくぶりの、ゲームだー!」


 年甲斐もなく、叫んでしまった。

 急に恥ずかしくなる。


 周りを見回す。

 誰も見ていないな。いや、女性アバターが1人、こちらを見て微笑ましそうにクスクス笑っている。


 顔に血が登るのを感じて、足早に歩き出す。



 この年になって、ぽっかりと出来た余暇。

 ずっと興味はあれど、手が出なかったVRMMOを今こそやろうと、中古のセット販売を見つけ、買ってみた。

 フルダイブ型の筐体と、この「アンリミテッド・スキル・オンライン」のソフトの抱き合わせ。


 機械をセットし、ウキウキとダイブしたのが30分前。

 それからアバター等の初期設定をして、先ほどの醜態へと至る。


「まあ、さっきのことは忘れよう、それより冒険だ!」


 そう独り言を呟き、町の外へと向かうことにする。


 ステータス画面を開き、装備を確認してみる。


 初心者の短剣に、初心者の服と。


「まあ、最初だし、こんなものだね。」


 初心者の短剣を選択し装備すると、光のエフェクトが発生し、ゆっくりと数秒かけ、短剣が手の中に具現化する。


「なんか、出るの遅くない?ま、いっか」


 何となく違和感を覚えつつ、軽く流してそのまま町の外へと歩き続ける。


 門が見えてくる。


「閉まってるぞ?」


 兵士らしき人が立っているので聞いてみる。 


「こんにちはー。お忙しい所すいません、私、カムカムと言います。外に出たいんですけど。」


 女性兵士が答えてくれる。


「あら、礼儀正しい。初めまして。ブリュンよ。来たばかりの来訪者の方みたいね。」


「そうなんです。」


 確か設定でプレイヤーは来訪者と呼ばれるってキャラクリの時に言われたのを思い出しながら私は答える。


「門の中央のオーブに触れれば外に転送されるのよ。帰ってくるときは外側の門に着いてるオーブに触れてね。」


 ブリュンは親切に教えてくれると、門の中央を指差す。


「これですね。ありがとうございます!じゃあ、さっそく行ってきます!」


「気をつけてー」


 笑顔で見送られ、意気揚々と私はオーブに触れる。


 視界が暗転し、すぐに明るくなる。

 目の前には林へと続く道がある。道のまわりには点々と茂みが見える。


 後ろを振り返れば、門と城壁があり、門の中央には同じようなオーブがあった。


「あれで帰るのね。了解。了解。」


 そういって前を向いた瞬間、脇の茂みからスライムが飛び出して来た!


 咄嗟に手にもったままだった初心者の短剣を振る。


 全然届かず、空振る。


 空振って、姿勢が崩れた所を目掛け、スライムが飛びかかり、顔面に張り付く。


 思わずナイフを放り出し、手で引き剥がそうとするも、手応えがなく掴めない。


 もたもたしているうちに、スライムが鼻から口から侵入してくる。


(い、息が出来ない。)


 パニックになり、むちゃくちゃに暴れるが、スライムは順調に、するすると侵入してくる。


 気がつくと、初めの広場にいた。


 どうやらあのまま、窒息して、死に戻りしたらしい。


 まだ、息苦しい気がする。

 涙目で大きく深呼吸する。


「ああ、空気って美味しい。うぅ、ぐすっ」


 呼吸の出来る素晴らしさに、思わず半泣きになる。


 ステータスを確認して見ると、ステータスの数値が半減している。死に戻りのペナルティでゲーム内時間で三時間はこのままだったはず。

 さらに追い討ちをかけるように、初心者の短剣をロストしていた。


 ちょっと心折れた私は、この日はログアウトして、寝ることにした。



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