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うんち  作者: うんち!w
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ウンコザウルスのうんち

俺たちはパーティーを結成し、共に冒険者として活動することに決めた。

そして、まずは魔女としてのフィース(フィーシズの渾名)が顔バレしていないであろう、少し離れた町まで移動することになった。目的地のゲリベンの町までのお金に関しては、おっさんの所持金で何とかなるだろう。ゲリベンの町はこの辺りでは大きめの町で、その分ギルドでの依頼も多い。魔物と戦う装備が整っていない俺たちは、しばらくはその町でお金を稼ぐことにした。


ゲリベンの町へ続く山道では、お金になりそうな薬草や種が採取できるため、おっさんに教わりながら採取していった。


「お、この花も売れそうだぜ!」


おっさんが指を差したのは、道端に咲く虹色の花だった。


「わ~、きれいですね!」

「この花を食うとな、全ての状態異常が治るんだ。副作用として、食べた後に自分のうんちが虹色になる。ジョークグッズとしても親しまれてるぜ」


喋りながら、おっさんは手慣れた手つきで花を収集した。


「あ、うんちといえば、どうしてボットン村でかりんとうになったんだろう?」

「かりんとう?」

「うんちみたいな食べ物だよ」

「それってお前のスキルじゃないのか?」

「スキル?」

「ほら、冒険者カードに書いてあるだろ?」


自分の冒険者カードを確認すると、「スキル一覧」という項目に一行「かりんとうになる能力」と書かれていた。


「いらねえ・・・」

「まあそう落ち込むなって、そのスキルで助かったんだぜ?」


せっかくならもっとファイヤーとかサンダーとか格好いいのがよかったなあ・・・


「あれ見てください!恐竜がいますよ!」


フィースが突然驚いたように言い放った。彼女の視線の先には昔恐竜図鑑で見た、ティラノサウルスに酷似した真っ赤な恐竜が青い木の実を食べている。


「ウンコザウルスだ!隠れろ!」


おっさんに引っ張られ、3人は近くの岩陰に隠れた。


「ウンコザウルスは草食だが、人間を敵とみなして襲い掛かって来る。奴が離れるまでじっとしとこうぜ」


そのとき、ウンコザウルスのうんちが高級食材な理由が分かった。ウンコザウルスの生息地は危険地帯という意味でもあったのだ。確かに自分のうんちを食べて来る奴は俺でも嫌だ。


「あっ食べ終わったようですね」


ウンコザウルスは食事を終え、再び歩み始めた。ウンコザウルスが木々で見えなくなったところで、俺たちはようやく岩陰から脱した。


「もしかしたらうんこしてったかもな」

「ブリの木の下を確認しよう」


ブリの木まで行くと、周囲には複数のうんちが落ちていた。ウンコザウルス以外にもブリの実を食べに来たのかもしれない。


「誰が食う?」


ウンコザウルスのうんちは一見は普通のうんちなので、見極めるには味で確認する必要がある。採集スキルが最大の採取を本業とする冒険者でも、口にするまで見分けることができない。じゃんけんをした結果、毒見係はフィースになった。


「うぅ。これ本当に食べるんですか?・・・」


フィースはいやそうな顔をしながらも。うんちをつまんでいる。


「がんばれ」


じゃんけんで決まったことは絶対なのだ。お互い同じリスクを背負ったのだからもうどうする事もできない。それが例え美少女でもだ。恨むなら神様とうんちを恨むのだ。


フィースは目をぎゅっと瞑り、鼻をつまみながらうんちを口に入れた。


「どうだ?甘いか?」

「にがいれすぅぅ・・・」


フィースは口にうんちを入れながら、涙目になり身震いした。


「ヴォオ˝オ˝エ˝ッ・・・オ˝エ˝ッ」


彼女はいきなり口からうんちを吐き出すと、泣き出してしまった。さすがに少し前まではお姫様だった彼女には酷だったかもしれない。良心がとても痛い。


「大丈夫か?ごめん、女の子にはちょっとキツかったよな・・・次は俺がやるよ」

「いえ・・・グスッ・・・いいんれす・・・グスッ・・・私の・・・責任ですから・・・グスッ・・・」


そう言うと彼女は周囲に落ちていたうんちを次々とほおばり始めた。


「ヴうううううううううううううつっっっっっっっっっっっっ!!!!!!!ううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう!!!!!!」


彼女は唸りながら両膝立ちで号泣し、顔を赤らめた。口元からはうんちが零れ出ている。


「そこまでしろとは言ってない!もうやめろ!」

「おい嬢ちゃん!大丈夫か?」

「ヴア˝ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」


彼女が泣く理由はうんちが苦いからでは無い。貧しき者が糞を食らってまでも金を欲しているという事実を知らず、裕福な生活を送ってきた自分の無知に涙を流しているのだ。一国の王女だった彼女は世間知らずで、世の中の汚い部分を教わらずに育ってきた。彼女の王国では奴隷制度があり、貧民よりも下の階級があるということは知っていた。今は無き自分の王国に、うんこを食うよりも酷い扱いを受けていた者がいたと思うと心が痛み、食っても食いきれないのだ。

後半の「ヴア˝ああああああ」の部分は王国のことを思い出したことによってうんちに殺された両親も思い出し、いっそう悲しみが増したのである。


そのことを知らないブチオとおっさんにはやべー奴だと思われてしまった。



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