おっさんの墓参り
う~ん・・・
薄暗い倉庫で金髪ロング青眼美少女が目を覚ますと、そこには異国の服を着た少年と筋骨隆々のおっさんがいた。
「おいブチオ!どうなってんだ?村が元に戻ってるぞ?」
「あなたがたは?」
「うおっ!魔女だっ!」
「まあ落ち着けおっさん」
村は元に戻り、おっさんが驚いている。外を見渡すと、急に目を覚ました村民たちも驚いている様子だった。俺は二人に、魔女や巻き糞についての事情を一通り話した。
「私はそんなことをしていたのですね・・・」
「ところで嬢ちゃんはどこの人なんだ?」
「私の名はフィーシズといいます。今は亡き、フンバルデル王国の第一王女です。魔王により王城が崩落した後、魔物から逃れ安全な街を目指していたのですが・・・」
「そこで洗脳されたのか」
「はい、両親はうんちに殺され、もう帰る場所もありません。私はこれからどうすれば・・・」
フィーシズは涙声でそう言い、肩を震わせている。
「それは大変だったな・・・」
ボロくて暗い倉庫の中では何なので、一旦落ち着ける場所で話すことになった。三人が倉庫から出ると村人の視線はフィーシズに集中した。
「おい、あれ魔女じゃねえか!?」
「そうだ!俺あいつにうんちにされたんだ!」
「隣におっさんもいるぞ!?」
「魔女だああああああああああああああああ!!!!」
「「「あっ」」」
彼女が魔女だったことを忘れていた・・・。村人には叫びながら逃げる者や腰を抜かす者がいるが、勇敢な村人達は鍬やナイフを手にして襲い掛かってきた。
「魔女だ!殺せ!」
「これ以上うんちにはさせねえぞ!」
「おっさんてめえ裏切ったな!?」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
「逃げるぞ!」
俺はフィーシズの手を取り、倉庫の裏側へと回り込んだ
「誤解だっ!話せばわかる!」
村民に魔女の仲間だと勘違いされたおっさんも一緒に逃げている。
「ここは私に任せてください!」
フィーシズはそう言うと、目を瞑り、持っていた杖を胸の前に掲げた。すると、杖の先端の茶色い宝石が光を放ち、3人の見た目がうんちになった。
「私たちに幻術魔法をかけました。しばらく無言でじっとしていてください」
俺とおっさんは言われたままに、口に手を当てその場でしゃがみこむと、追ってきた村人が駆けつけてきた。一人が一瞬驚いた顔をしてこちらを見てきたが、俺たちは見つからなかった。
「クソッ、見失ったか!探せっ!」
そう言うと村人たちは散り散りになり、魔女の捜索を始めた。
「ふう、助かった・・・」
「いったいどうなってんだ?」
「私の能力は、指定した対象をうんちと錯覚させる幻術魔法です。今のうちに逃げましょう!」
俺たちはとにかく全力で走り、村から逃げ出した。途中で何回か見つかったが、幻術魔法で事なきを得た。
「ぜー・・・はー・・・ここまで来れば・・・大丈夫だろ・・・はー」
「ぜー・・・そう・・・はー・・・はー・・・ですね・・・」
行きついた先は村はずれの墓地だった。草原には小さな白い花が咲き、長方形で石造りの墓が並んでいる。一つの墓の前でおっさんが立ち止まった。
「これ、俺の両親の墓だ」
そういうとズボンをズリ落ろし、墓の上にうんちをし始めた。
ぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶりぶり
「おい!お前何やってんだよ!」
「俺の親父は重度のスカトロ人間でな、3時になると必ずうんちを食べてたんだ・・・」
「母さんの気持ちは!?」
おっさんは体勢をそのままに、悲しい顔で語りかけた。
「ただいま・・・久しぶりだな・・・。最近会いに来れなくてごめんな・・・。へっ、俺あっちでの仕事クビになっちまったよ。でも、心配すんなよ!俺は元気にやってるぜ!いい仲間にも巡り合えたしな!」
そういうとおっさんは笑みを浮かべて俺の方を見た。
「おっさん・・・」
「俺たち一緒に旅に出ないか?行き場のない奴同士でな!」
「それなら私も!」
「いいぜ!異世界から来た俺と、筋骨隆々のおっさんと、幻術使いの金髪ロング青眼美少女!3人いれば怖いもの無しだ!」
こうして俺たちの糞にまみれた冒険が幕を開けたのだった。