排泄
昔偉い人が言っていた。
~料理を作るということはうんちを作ることと同義である~
と。
高級料亭の活け造りも、本確的イタリアンピッツァも、最終的にうんちになってしまうのだ。
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俺の名は運地 渕雄(18)。ごく普通の高校生だ...
(はー今日学校行きたくねー)
今日は期末テストだ、登校中の足が重い。
くちゃっ
俺は水気のある音を感じ足元を見た。
うんちだ...w
(朝からついてねえな、もう帰ろうかな)
そう考えながらぼうっと歩いていたらトラックに引かれて死んだ・・・
・・・
う~~ん、頭が痛い
気がつくと俺は闇の中にいた。
体の感覚があまりない。
真っ暗で、風呂上がりにクーラーの入った部屋にいるような寒気がする。
「ここはどこだ…?」
まだ頭があまり回っておらず、寝起きのような感覚だ。
「目が覚めたか」
その言葉と同時に辺りが明るくなり、気がつけば白い部屋で椅子に座っていた。
目の前には白い机と腕を組みながら偉そうにしている神様っぽいおっさんがいる。
そうだ、俺は死んだんだ。ここは死後の世界だ。
俺が自分の死について確信した瞬間だった。こんなに若くして死ぬなんて思ってもいなかった。
やりたかったことや、これからの人生、友人や家族のことを考えると悲しみがこみ上げてくる。
とりあえず今の状況を確認しよう。
「あなたは一体?」
「我が名はガブリュエル、運命を司る神である」
「ここは何処なのでしょうか?」
「ここは生者の世界と死者の世界の狭間だ。今からお前が天国と地獄のどちらがふさわしいか決めるのだ」
(ゴクリ)
俺は生前、頭は良くなかったが、悪いことはしていない...はずだ。常に人のことを思いやり生きてきた。
横断歩道を渡る高齢者の荷物を持ち、落ちていた百円玉は交番に届けた...といったことはしていないが、思い出せる悪行は小学5年生の時に、友達にごぼうでカンチョウをしたことくらいだ。
俺は間違いなく天国行きだ。
「昔は日々の行いを監視して判定していたのだがな、最近は面倒だからテストで判定しているのだよ」
「なんですって!そんなの地獄行きじゃないですか!」
「まあ落ち着け、テストといってもかんたんなお絵かきをするだけだ」
ウィイイイイイイイイイン
何やら複雑な構造をした機械が地面から生えてきた。パーツ間で幾多の配線が絡み合い、中央の四角い部位に電光掲示板のようなものが付いている。
「これは我が神器、【真理解鏡】だ。絵を分析し、作者の深層心理を読み取るものである」
神器には「ソフトクリーム」と表示されていた。
「お題はソフトクリームのようだな、さあ描くが良い」
そう言うと、俺に紙とペンを手渡した。
「お前は悪いやつには見えん、おそらく天国行きだろうから気楽に書け」
「はい、分かりました」
やはり天国行きなのか、じゃあ適当に書いてさっさと天国ライフを満喫するとしよう。俺は何も考えずにスラスラっとソフトクリームを描き上げた。
「描けました~」
「もう出来たのか、それじゃあ神器の投入口に入れるのだ」
「は~い」
神器にポストのような口があるのでそこに投入した。
紙と手が離れた時、俺はあることに気付いた。
(コーン描いてねえ・・・)
適当にやりすぎた。死んでもバカは治らなかったのか・・・。でもまあ深層心理を解析するらしいし天国いけるだろ。
そう信じ神器の方を見ると「うんち」と表示されている。
うんちだ...w
「お前の判定がでたぞ...なんだこれは!?」
ガブリュエルは神器に表示されたうんちを見て驚いている。
「うんちだと!?また壊れたのか?まあいい、判定できないのなら、面倒だし他の世界にでも送っておくか…」
「これは何を意味するのでしょうか?」
「異世界転生だ!お前は異世界でもう一度生きてこい!」
「えぇっ!」
(異世界転生だと?あのモテモテ最強の?やったぜ。)
パチンッ
神のおっさんが指を鳴らすと、俺の真下に魔法陣が展開され、褐色の光を放った。
「では、行くがよい」
「はい!行ってきます!」
こうして、深層心理がうんちということに少しショックを受けている俺は異世界へと排泄された。