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プロローグ
「音」を「楽しむ」と書いて「音楽」だと、昔から人々は口を揃えて言う。
かつて親友だった人も、最後までそれが口癖だった。
今となっては、その通りだと心から思える。
だからこそ、自分も解ったフリをして、全てをごまかして笑っている。
何が楽しくて何が悲しいのか、自分は昔何になりたかったのか、そういうことを忘れるほどに。
楽しいはずの音楽で、誰かが傷つくなんてことがあってはならない。
解っている。同じ過ちは繰り返さない。
何にも触れなければ、世界は変わらず穏やかなままだ。
どうせ自分は地獄に落ちるんだから、せめて心臓が動いている間は静かな世界に居たい。
自分の鼓動以外、何も聞こえない場所に。
初投稿なので多目に見てください。