ロランの哀詩 第1章
シャルルマーニュ伝説の叙事詩”ロランの歌”を、伝説の剣デュランダルとロランにスポットを当ててアレンジを加えた作品です。
遥か中世の時代、シャルル王なる人がイスパニアを侵略するため七年もの歳月を費やし、イスパニアの殆どを制圧していた。
自国イスパニアを侵略されたイスパニアの王マルシルは山間の砦、サラゴッズに追い詰められていた。
マルシルには二万もの兵力が残っていたが、到底シャルルには及ばない。もう駒は動かせない。そう踏んだマルシルは智将ブランカンドランにいかがすればこの窮地を脱っせるか。そう問いかけた
ブランカンドランはこう答えた「シャルル王のもとに使者を遣わし忠誠を誓うと伝えなさい。贈り物を献上しなさい。キリストの祭りに出席しなさい。その証拠として人質を送るのです。10人であれ20人であれ、信用を得るまで送るのです。私の息子も送りましょう。その子らが殺されようとも」
ブランはシャルルに屈服するつもりなどない。
この案はフランス軍に引き上げてもらうための偽りなのだ
実際にキリストの祭りになったとしてもマルシルはシャルル王のもとには現れない。約束を破られた王は怒り、預けた人質を殺すであろう
ブランはこう続けた「このままイスパニアを奪われるよりは遥かにましでしょう」
この案を聞いたマルシルは早速、使者を遣わした
~シャルル王の宮廷
ブランカンドランと周りにはロラン、オリヴィエを含む12人衆がいた。
マルシル王の使者ブランカンドランからの申し出を聞きシャルルは半信半疑であった。シャルルは過去に和睦を受けた際、シャルル王の使者を切り捨てられたためである
しかしガナロン伯は言う「申し出を無下に退けるのはいかがなものか。」重臣ネームもこう述べた「ガナロン伯の言うことも最もです。戦いに敗れたマルシル王をこれ以上攻め込むのはいささか罪なものかと」
王と騎士達はそうかもしれぬ、と納得した
「では誰が使者として発つべきか」シャルルはサラセンの民が忠誠を誓うかまだ半信半疑である。
そこへロランが提案する。「私の義父ガナロンを行かせればよいのでは?」
人々は納得し、「大いなる知恵者ガナロンこそ相応しい」口々にそう言った
だがガナロンは苦悶に顔を歪め、キッとロランを睨みつけた
「おのれロラン。よくもわしを指名したな。義理の父を危険な任務につかせおって!」
「ならば私が参りましょうか?」「たわきおって、指名されたからには退けめものか。わしが生還した暁には手痛い目にあわせてくれる」
そんな脅しにも屈せず、ロランはただ笑っているだけである