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「ここでいいのね、ユング」
レイの家。それは森の近く。村の外れにある一軒家だった。木造立てで入り口の両脇には窓がある。その森の木に四つの影。
風がまったくなかった。それさえも不気味だった。
静まり返った朝にサンニンをつれてこの場所にきた。自分は手を出さず、必ず他人に仕事させる。それが彼女の殺り方。
ユングから聴いた獲物の事。地上界でまだぬくぬくと生きていると。
あの時に死んでいれば楽だったのにね。そうすれば、苦しまずに死ねたのに。
「はい、確かにここにいると。どうなさいますか?」
「あちらも気づいているでしょう。こちらから呼びかけることもないわ」
セレナーデは木に凭れ、体重を左足に掛け右足を左足の上に組むみ、腕を組んだ。そして、五十メートル先の家を見た。
「確かに」
ユングはセレナーデの横から一歩後ろに下がった。そしてユングはその家を見据えた。
ユースコアからもらった剣の鞘に付いているベルトを腰に巻いて準備をする。
「それじゃあ、行ってきますね」
「ティナ、オレも協力する」
「大丈夫だよ、レイ。これは私の問題だから」
ティナは手を前に出して、レイを止めた。
これは自分が持ってきてしまった事。レイやユースコア、ここの人たちに迷惑はかけられない。本当は自然界に戻ってからにしたい。 でも、あの人たちはここに来てしまった。だから私は一人で行く。
「そんな事言ってる場合じゃないと思うよ。向こうは四人なんだから。手伝わせてよ」
「本当に?ユースコアはいいの?」
「この子が決めたことだもの。反対はしない。けど、いいのね?」
「うん。もう決めたことだから」
「そう。ティナ、協力させて」
「じゃあ、お願いします」
ティナはレイに頭を下げた。