第95話 終焉
九つのチームが、それぞれの特技やスキルを活かしながら、それぞれ1機ずつの巨大戦艦を撃墜した。
残り十機だ。
だがここで、敵の動きに変化が現れた。
一機の巨大戦艦だけが上昇し残りの九機は、竜馬を追いかけるように、地下に突入を始めた。
恐らく上昇した一機が、念話を使ってくる敵の大将が座乗した旗艦で間違いないだろう。
ここで、竜馬をやられる訳には行かない。
「一班と二班は、残った一艦の対処を頼む。TBを残すから卑弥呼の幻獣と力を合わせれば、旗艦の滞在する高度でもなんとかなる筈だ。他の班は俺とともに、地下へ突入していった巨大戦艦を追走する」
颯太にYAMATOを取り出させて乗り込み、全速で追撃を開始した。
主砲で狙い撃つが、巨大戦艦を外部から撃ち落とせるほどの威力には足らない。
やはり直接乗り込み内部からの破壊しか手段はないか。
だが、どうやって取り付く。
勇が提案した。
これだけのデカさの敵が九機もいるとちょっと大変だが、俺がスキルでこの船の時間を加速する。
恐らく三十秒が限界だ。
その三十秒でそれぞれ別れて乗り込む。
俺と理は一人でいいだろう。
他のメンバーは班ごとで、突入してくれ。
まずは全速で追い上げて近づいてくれ。
その時竜馬から念話が入った。
『今から五分後には、この世界をリソースに戻す術式が発動できるが、まずいな…… 既に追っかけてきた巨大戦艦共の影が見えてきた。五分時間を稼げるか?」」
『解った、全力で足止めをする』
「勇。急ごう。竜馬が五分でこの世界を消す術式を発動する。足止めを頼まれた」
勇がスキルを発動する。
【極限加速】周りの全ての時間がスローに成る。
YAMATOが一気に巨大戦艦に追いつき1機に1班ずつ取り付き内部に侵入して行く。
俺は先頭から二機目、最後に勇が先頭の艦に取り付いて艦橋部分を破壊し内部に突入する。
「雪、二人きりだが大丈夫だな?」
「任せてよ、私だけでも十分なくらいだよ」
一方地上部分では上空に待機した旗艦からの、一斉攻撃が始まっていた。
卑弥呼が青龍を召喚して憑依する。
鹿内さんと坂内さんが全力で結界を展開し、その中で全員が最大化したTBに捕まった状態で、卑弥呼の青龍に飛び乗り、旗艦の真下まで移動した。
東雲さんが最大奥義のスキルを発動する【斬鉄剣極】
一撃で旗艦の底部を切り開き、青龍ごと艦内に突入した。
颯太が真っ直ぐに重力制御室方面に駆け出す。
二班のメンバーも付き従う。
鹿内さんが範囲魔法を派手に連発すると、フェンリルに護られた前田さんが鹿内さんの攻撃をトレースする。
坂内さんはフェニックスを召喚して、艦内を蹂躙する。
達也は一班のメンバーの先頭に立ち、ベルゼブブの能力で全ての攻撃を食らい付くしながら、波動龍砲を『アルティメットイージス改』から乱れ撃ちしている。
東雲さんは、サタンの能力を全開放して敵を斬り倒す。
颯太が重力制御室に辿り着くと声が聞こえてきた。
『下等な存在の分際でここまで辿り着いたことだけは、褒めてやろう。だがこの艦は旗艦等では無い、一艦だけ残して待機させれば、勝手にそう思うだろうと残した通常艦だ。他の艦も全て自爆の体制に入った。ここまで来れた褒美として、棺桶に使わせてやろう』
その言葉を受け、颯太は「そんな事だろうと思ったぜ、こっちも手の内を全部見せてるわけじゃないしな」とスキルを発動する。
【集合】
パーティメンバーが一瞬で集まるだけの能力だが、シンプルだが使い所が合えば効果は極めて高い。
以前に理を【D5】で失った時に、再び同じ事態が起こる場合を考え取得したスキルだ。
一班と二班のメンバーが颯太の下に瞬時に集まる。
何事もないように転移門を広げ艦の外に出た。
勿論重力制御室は破壊してだ。
そして再度転移門を広げ、YAMATOに移動した。
だがYAMATOの内部には誰も居なかった。
既に勇のスキルは切れ、巨大戦艦とはかなりの距離がある。
その時だ。
目の前で信じられない事態が起こった。
全ての巨大戦艦が一斉に大爆発を起こし始めた。
「嘘、岩崎さん達はまさかあの中?」
「取り敢えずこのままでは、YAMATOも巻き込まれる可能性が高い離脱させる」
颯太の判断によりYAMATOは上空に向かった。
念話を送るが何も返事が戻らない。
上空に待機をして二分ほどが立った時に、星の崩壊が始まった。
更に高度を上げ成層圏の外まで上昇する。
目の前で起こる星の終焉そして何も残さずに消え去った。
「どういう状況だ……」
「【D3】コア状況が解るか?」
「多くのコアの存在が今の一瞬で消え去ったのじゃ」
「理は? 無事なのか?」
「それは、わらわでは感じ取れないのじゃ。ただ……世界を統べる者の気配は完全に消滅したのじゃ。『長い時を巻き込んじまってスマン』と消滅の瞬間に語りかけてきたのじゃ」
「TBは何か感じ取れたのか? 」
「ご主人様の声が聞こえたニャ、俺が戻るまで俺の家族を守ってくれって言ったニャ」
「どう言うことだ? 理は生き残ってるってことか?」
「解らないニャ、ご主人さまの言付けを守るだけニャ」
「理の事だ、またひょっこり戻ってくるさ、必ずな」
達也の言葉で取り敢えずは、戻る方法を考える事にする。
「誰か戻れる方法は思いつくか?」と颯太が全員に聞いたがYAMATOの次元を渡る能力だけは、理にしか使えない。
このままでは宇宙空間を彷徨うだけになってしまう。
コアと話した坂内が発言した。
「この次元からの転移に、私達が保有する全てのコアとスキルを代償にアビスワームに飛び込むことが出来れば戻れるそうです。ただしYAMATOは無理だって言ってますけど」
「ちょっと待て、アビスワームがここには居ないじゃないか戻る手段が無いのか?」
前田さんが手を上げた。
「岩崎さんから貰ったモンスターボールの一つにアビスワーム封じ込められてます」
颯太が【D3】コアと再度話す「坂内の言った言葉は真実なのか? その場合【D3】コアやスキルに宿ったコアはどうなる?」
「わらは達は、消滅するのじゃ。でも案ずるでない世界を統べる者がそうであったように、わらは達は世界を守る為だけに存在した只のチップなのじゃ、やっとゆっくりと眠りにつけるのなら、むしろ幸せなのじゃ。ためらう必要は無いのじゃ、もうスキルに頼らなくてもマスター達は世界を守って生きていけるのじゃ」
「ダンジョンの存在はどうなる? 」
「コアが手に入らない以外は、そのままなのじゃ、マスターがもし死ぬ事があれば、新たなマスターが現れ繰り返されるだけなのじゃ」
颯太が決断をする「みんな、俺達の世界へ戻ろう。前田さんアビスワームを頼む」
前田さんがモンスターボールを投げ特大のアビスワームが現れた。
「相変わらず気持ち悪いなこいつは」と、言いながら、アビスワームの中に侵入していく。
女性陣はみんなTBにしがみついた状態で侵入していった。
そして異次元転移スキルを発動させ、理の家の庭に全員辿り着いた。
他には誰一人戻っていない。
藤吉郎の世界との連絡もとれない。
この世界に現時点で残っているスキルは、大泉総理の持つ二つだけだ。
コアも同じく二つを総理が所持するだけだ。
しかし、JOBシステムやダンジョンは残っている。
魔導具も問題なく使えている。
ただ…… 俺がランキングの一位に表示されている。
◇◆◇◆
原初の世界の崩壊から、十ヶ月が経った。
(東雲あずさ)
あれから、岩崎さんからの連絡は無いままだ。
「困ったパパですねぇこんなに可愛い君の笑顔を見てくれないなんて」
前田さんと坂内さんと卑弥呼も無事に妊娠していて、四人共、一週間の間に出産を迎えた。
十四人の赤ちゃん達で、岩崎家の日常はとても賑やかだ。
あれから赤ちゃんたちの側には、保育施設では常にTBがいる。
TBはレベルアップの影響だろうけど、最初に連れてこられた時の生後一か月の容姿のまま変化しない。
最大化した百メートルサイズでも子猫の容姿がそのまま大きくなるだけなので、なんだか可愛い。
早く帰ってきてくれないかな?
二人目の赤ちゃんは私が一番先に産ましていただきますから!
(鹿内雅子)
私は毎日がとても忙しい。
世界最大の企業グループとなったIWASAKIホールディングスのCEOとしての職務は大変な激務である。
あの人が帰ってきた時に、びっくりさせてやる。
その気持だけで会社を大きくさせ続けている。
既に海外進出も果たし、国家では出来なかった海外のモンスターを討伐して開発を進め防衛都市を作る事業も、企業としてであれば国外でも取り組めると言う認識の元、世界中の開発を請け負う。
東雲さんと坂内さんが正式にIWASAKIホールディングス所属の討伐班を率いる事に成り、【PU】からも森本さんと三浦君が移籍してきた。
東雲さんと坂内さんは妊娠中であり、実質は森本さんと三浦君が隊を率いている。
森本さんは岩崎さんがいるうちに、ハーレムメンバー入りを逃した事を凄く悔しがってる。
国内の開発事業は、現状は一番活躍しているのが翔君達である。
今は他の勢力からの干渉を防ぐ意味も含めてIWASAKIホールディングスの所属パーティとして活動してくれている。
早く帰ってきてね、貴方の為に美貌を磨くことは怠らないわ
(TB)
今日もご主人様の、赤ちゃん達と一緒に一日中ゴロゴロしているにゃ。
最近少し成長してきた子達が乱暴にモフってくるとちょっと辛いにゃ。
でも約束したにゃ。
ご主人さまの家族はオイラが守るにゃ。
ハァご主人様にモフられたいにゃ……




