第133話 次のステップへ
俺は無事に戻ってきた。
その日は、みんなで無事を祝い達也が用意したビールをたらふく飲み、颯太が用意した日本酒を堪能した。
向こうの世界のTBの画像をリビングの大型テレビでみんなに見せた時は、そのスカーフェイスにびっくりしてた。
そしてキーちゃんの可愛さに、みんなの表情がほころんだ。
ダンジョンの本体があるこの世界では、鹿内さんの会社が中心と成って討伐を行ってるようだ。
しかし討伐をイベントとして行って、全世界に生中継するとか凄い発想だよな。
国内のモンスター討伐は、【PU】がほぼ対処できるので、余程の事が無い限り鹿内さん達が出動する事は無いそうだ。
各国の政府は、【IDCO】を通じて日本に援助を依頼して、その援助金を使ってIWASAKIホールディングスに防衛都市の構築依頼を出す。
ほとんど、日本の一人芝居状態だな。
現在日本は、政府の政策により未曾有のベビーラッシュが訪れているらしい。
四十代以下が家長の家庭の、平均的な家族構成は一世帯辺り五人を越し、二十年後の人口予想では、一億人を突破する見通しと成っている。
ダンジョン産技術の発展は、日本だけでなく世界中に快適な暮らしを提供する。
世界中あらゆる場所にモンスターは発生し、魔核を落とすので世界中でハンターたちがモンスターを狩り、【DG】に販売しに来る。
この六年間で世界はすっかり変わってしまったが、これからの世界は逞しく育った人類がモンスターと共存していく世界になるんだろうな。
「ナビちゃん。ちょっといいかな」
「いかがなさいましたか? 理様」
「ナビちゃん達コアの存在は、この先何が目標なの?」
「私達はただ見守る存在となります、この世界を再び崩壊させようとする全ての悪意を防ぐために、理様のお持ちになられているコアチップの皆を、親しい方に宿らせる必要も御座います、藤吉郎様の世界とこちらの世界で、守護者は必要でございます。」
「そういえばさ、前に分岐点の話をしてたじゃん? この世界で普通に暮らしていても分岐点って発生する可能性はあるのかな?」
「分岐点の発生は、時を超える行為が行われた時に発生致します、現在その行為が可能なのは理様だけの筈ですので、発生の可能性は低いと考えられます」
「低いって事は0では無いの?」
「それが……この世界に戻って原初の世界から、次元の狭間で戻る途中に違和感が御座いました」
「違和感って?」
「次元の狭間には、世界を統べる者が作らせた1111の世界への入り口が御座いましたが、その侵入経路がこじ開けられたような場所があったのです」
「どう言うことだ?」
「原初の世界の支配者だった存在は、何処に行ったのでしょうか? 」
「生き残っているというのか?」
「恐らく、私達と同じようなコアチップのような意識体だったとすれば、酸素など必要なく生存は可能です。むしろあの場所で死んだり消滅したと判断する事の方が、難しいのでは無いでしょうか」
「この世界に現れる可能性もあるのか?」
「無いとは言えないません」
どうやらこの世界に対する脅威は、まだ続きそうな状況だ。
◇◆◇◆
俺は、妻たちを連れて藤吉郎の世界に訪れていた。
大分遅くなったが新婚旅行だ。
【G.O】で訪れた俺達を案内してくれるのは、半兵衛と天草四郎、ヌルハチ、直江兼続、島清興の五人が担当してくれた。
この世界での高レベルの人々が、みんな俺と共に最終決戦に望んで、チップと成った為に実際この世界で現時点での最高戦力でもある五人だ。
この世界では、藤吉郎が一括統治をする連邦政府で有るために、余分な争いは少ない。
まぁもし戦争が起こったりしたら、藤吉郎が圧倒的な戦力を引き連れて、即座に鎮圧しに来るしな。
宗教も、国教としては一つしか存在しないので、俺達の地球で一番大きな戦争の原因が存在しないのも大きいよな。
科学が進んだ世界ではないので、自然が圧倒的に多く夜空の美しさなどは俺達の世界とは比較できない程だ。
世界中を【G.O】で巡り、数々の思い出を刻んだ。
今回は、単純に新婚旅行と言うだけでは無く、かつて【D155】に暮らしていた、勇の世界の子孫の人々を、この世界で既に人類が生息していないアメリカ大陸に移住させ新天地を開拓してもらうと言う事業を、開始する事もある。
この事業に先駆けて……
近藤勇
土方歳三
沖田総司
永倉新八
伊藤甲子太郎
山南敬介
西郷隆盛
大久保利通
中村半次郎
桂小五郎
高杉晋作
村田蔵六
武市半平太
岡田以蔵
以上の幕末組14人をダンジョンコアとして、宿らせる為に候補者の選定を行ったのだが、それぞれがこの【D155】ダンジョンで世代を重ねて行った、住民たちに宿る決断をした。
この住民たちに取って【D155】の中ボスであったこのメンバーやダンジョンマスターであった近藤勇は、神に近い存在でもあり、それぞれ宿られた人物が、コアの名前を名乗ることになった。
結果彼らは、再び肉体を得ることが出来たのと同じだ。
それと同時に各ダンジョンコアに対応するダンジョンの入口を設置し、彼らはこの地に設置されたダンジョンのマスターとして、人々を導き新たな世界を作り上げていくのだろう。
俺は勇に「もし、新たな脅威がこの世界に迫った時には、お互いに協力して対処して行こう」とこれからの関係性を求めた。
「理のお陰で歳や総司達と共に新しい世界を築き上げるという俺の夢が叶う。感謝するぞ。だがこの肉体ではまだまだ実力不足だからな、この地に残るメンバー達と、一から鍛え上げていくのは大変だが頑張るさ」と、これからの目標は定まってるようだ。
大阪城に戻ると、この世界出身の武将たちもそれぞれ縁の人物に宿ることを求め、その中でも大将格の慶次は直江兼続に宿った。
明智光秀は竹中半兵衛に、徳川家康は、藤吉郎に宿る事を決め、上杉謙信や武田信玄達もそれぞれの後継者に宿ることになった。
真田幸村とその十勇士達も甲賀の里を訪れ、そこに拠点を構える選択をした。
後は寛永組と鎌倉組と清河か、彼らの希望を聞くと、俺の世界で新たな日本を見たいと言う意見が纏まって、颯太や俺の嫁達に宿って貰う事になった。
実際は十兵衛が言ってたんだが、俺の廻りが一番面白いことが起きそうだからという理由らしかった。
巴御前は明確な希望を持って居て、向井さんに宿りたいと言ってきたが、歴史上最強の薙刀使いの、誕生になるだろうな。
それぞれが宿る事になった人物は……
島颯太 清河八郎
斎藤達也 宮本武蔵
東雲あずさ 柳生十兵衛
鹿内雅子 服部半蔵
坂内美穂 静御前
前田香織 石川五エ門
卑弥呼 源義経
安倍晴明 武蔵坊弁慶
ナポレオン・ボナパルト 木曽義仲
ジャンヌ・ダルク 那須与一
松尾翔 佐藤忠信
原田省吾 佐藤嗣信
梅野桜 伊勢義盛
山口萌 亀井重清
上田泰造 柳生宗矩
相川拓也 柳生宗冬
熊野豪太 東郷重位
早川涼 高田又兵衛
三浦尚之 宮本伊織
森本久枝 百地三太夫
桑田和之 柳生利厳
マイケル・ギルバート 佐々木小次郎
ハリー・スミス 荒木又右衛門
アンリ・ゴダール 由比正雪
エッカルト・アッヘンバッハ 吉岡又三郎兼房
プラチド・シモーネ 小野忠常
ルドラ・バクシ 松山主水
翔達のパーティーを除いては最終決戦メンバーに順当に宿ってもらった。
すでに一般探索者の中では世界最強パーティになっている翔達のパーティは彼ら義経四天王の力を得て、更に上のレベルに向かってくれるだろう。
そして俺は、久々にナビちゃんと二人きりの状態になり、今までよりは少しだけ静かな日常を手に入れた。
『なんとなく家に戻ろうとした俺が世界を間違っちゃって、強くてニューゲームで頑張る話』 完




