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なんとなく歩いてたらダンジョンらしき場所に居た俺の話  作者: TB
アフターストーリー『なんとなく家に戻ろうとした俺が世界を間違っちゃって、強くてニューゲームで頑張る話』

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第127話 もう一人の理の方向性

 俺は少しでも早くTBの目と耳を直してやりたくて、エリクサーを作る為に必死でJOBレベルを上げている。

 生産系のJOBレベルは生産する事でしか上がらないので中々大変だ。


 棗ちゃんがもう一人の俺ならスキルも持ってるし、連れて行けば直してくれるよって言ってたけど、同じ俺なんだろうけど、やっぱり頼りっぱなしになるのはちょっと嫌なんだよな。


 逆に俺が意地を張ってるせいでTBが不自由な思いをしてるんじゃないかな? とか思ったりもするんだけど、それでもどうしても俺が直してやりたいんだ。


 他の人が聞いたら猫に五十億円もする薬を使うとか、頭おかしいんじゃ無い? と言われることも解ってる。


 でも俺は必ずやり遂げるぜ。


 そのTBは現在俺の目の前で、キーちゃんとお互いを舐めあって毛繕いをしている。

 人前で堂々とイチャイチャ出来る猫が羨ましいぜ。


 キーちゃんはエリクサーのお陰で完全な健康体に成った。

 毛艶の美しさも、世界中の品評会のどんなチャンピオン猫を連れてきても、今のキーちゃんより可愛くて美しい猫は居ないだろうと思う程に、愛くるしい。


 TBは、片目片耳のスカーフェイスで、このままもし人化しちゃったりしたら、絶対頭に㋳の就く職業の人にしか見えないだろうな。



 ◇◆◇◆ 



 生産職はレベルを上げる事で、運のステータスが伸びるから満遍なく上げていきたいよね。


 今日は、折角JOBに付いたから収納バッグを作ってみようと思ってる。


 棗ちゃんが持ってるのは、もうひとりの俺が作ったRの収納バッグで、容量十トンまで入るんだってさ。


 十トンとか言われてもピンとこない量だよね。


 N品でも成功さえすれば、随分高額なアイテムに成るらしいし頑張って成功させよう。

 実物を見たことでイメージが湧きやすいのも、俺にはかなり有利なポイントだよな。


 魔導具師のレベルはまだ三しかないから、せめて五までは上げたい所だな。


 魔導具の作成には魔核が必要だけど、魔核ってそのまま【DIT】に売っても結構高く買ってもらえるんだよな。

 スライムから出る魔核でも一個千円にはなるんだけど、ある程度レベルが上がるまでは、先行投資だと思ってやらなきゃしょうが無いな。


 でも、俺には他の人より有利な点もある。

 錬金術師のJOBで素材自体を錬成して、成功率を高める方法があるらしいんだよな。

 これも棗ちゃんがもう一人の俺から、情報を仕入れてくれていた。


 結局一日中錬成と魔道具作成を繰り返して、魔導具師と錬金術師のレベルが五になった時に一つだけNクラスのバッグの作成に成功した。


 使った魔核の総量は百回の挑戦で三千ポイント分にのぼった。

 これだけでも売れば三十万円分の量だぜ……

 更に他の素材も必要だったし、その素材も計算したら二十五万円分くらい使った。


 一日で五十五万円分の素材を消費して出来上がったこの収納バッグって売ったらいくらになるんだろ?

N品でも百キログラムの容量があるから、きっとそれなりの値段になってくれる筈だ。


 でも現状は俺が使ったほうが絶対いいな、もっとたくさん出来てから販売は考えるか。


 薬師のJOBレベルは十まで上がって、錬金術師のJOBレベルの上昇により素材錬成で随分成功率が上がってきた、薬師は棗ちゃんも持っているので、俺が素材をひたすら錬成して、出来上がった素材を二人でポーション作成で消費する感じだ。


 生産職のレベルを上げ続けていることで、運のパラメータが大幅に伸びてきたので、全体的な成功率も高まってきたと思う。


 当然戦闘においても、運のパラメータの上昇は、ドロップ率にも大きく貢献しており、棗ちゃんと向井さんと行う毎日の狩りでの収入は、一日あたり十万円以上の収入が手に入るようになった。


 それにプラスして、生産による収入は日々二十万円を超える。


 装備品、ポーション類の作成では、毎日Rクラスの商品が一つは成功するようになってきている。


 ちょっと前までの、ダメダメな男だった俺の生活は、劇的に変化してきた。


 棗ちゃんは、最近の俺の見た目の大幅な変化も在って、ぐっと身近な存在になってくれている。

 TBとキーちゃんと一緒に四人での生活が始まったんだ。


 向井さんも、最近の俺の頑張りを認めてくれて、一緒に暮らすことを応援してくれた。


 でも、一番ビックリするのは向井さんの見た目だよなぁ、七十六歳の婆ちゃんが、どっからどう見ても二十代にしか見えないし、棗ちゃんのコーディネートで全然おしゃれなお姉さんって感じになってる。


 最近は街を歩くことが楽しくてたまらないって言ってた。

 でも、俺達は具体的な目標って無いんだよな。


 今更【DIT】等の組織に所属する選択肢は無いし、どうして行くべきかなって思ってた。


 ◇◆◇◆ 


 そんなある日、テレビで【EDC】って言う会社の立ち上げを、放送していた。

 この間島長官に挨拶しに行った時に後ろに立っていた二人の男性が映っている。


 確か織田さんと斎藤さんだったかな、あの二人が居るって事は、もうひとりの俺が関わっている会社なのかな?


 その会社は世界中のダンジョンを討伐して、防衛都市の構築を請け負うと発表していた。

 それが実現するなら、世界は復興に向けて動き出せるよな。


 でも俺も、賢者JOBによって属性魔法は全て使える様になったし、結界も貼ることが出来る。

 錬金術も使えるんだから、土魔法で防護壁を作ってセラミック化させる事位なら出来るな。


 でも、結界を破壊された場合新たに張り直さないといけないから、そのあたりの手間をどうするかだな。

 【EDC】はどうやってその辺りの問題をクリアしてるんだろう?


 まぁ一人で考えてもいい案はでそうにないから、棗ちゃんと向井さんに相談しよう。


  ◇◆◇◆ 


「転移門を開発出来るようになれば、一気に開発を進めることが出来るんだよね、俺の職業特技で今防衛都市を囲んでいる程度の防護壁なら、作れちゃうと思うんだよね」


「オサムさん、そんな事出来るんですね、転移門かぁ、でもですね私が一つ預かっているじゃないですか? これがあればイメージって湧きやすいとか無いですか? 時空関係の能力のある魔核素材を手に入れれば良いのかな?」 


「お、それは凄いヒントになりそうだな、時空関係だと【D5】の中ボスで出てきた、アビスワームがそれっぽいよね」


「でもレベル七十五かぁ……私達だともうドロップが手に入らないですね、横田の【D47】ダンジョンに砂漠ステージとかアビスワームの出る十五層以下の階層があるか確認してみますね」


 その話をしていると、向井さんが「私達も会社を立ち上げるのってどうだろうかねぇ? 個人だとこの間の【DG】の買取の時みたいに舐められちゃう事も考えられるからねぇ、ある程度は知名度があれば対応が変わってくれると思うんだよね」と切り出してきた。


 俺と棗ちゃんは、向井さんの提案であれば異存はない無い。


「会社設立の手続は向井さんにお願いしちゃってもいいですか? 後、社長は向井さんで俺は社員でお願いしますね、必要なお金とかは三人で全て割り勘にして出しましょう」


 と、会社設立の関係は全て向井さんに丸投げすることにした。


 俺は棗ちゃんと【DIT】の本部に出向くと、最近のダンジョン討伐で仲良くなっていた【PU】の隊員の森本さんが居たので、アビスワームと砂漠ステージの情報を聞いてみた。


「あら? 棗ちゃんと一緒に居るってことは、岩﨑さんなのかな? メチャ若返ってるじゃん。いくらダンジョン効果って言ってもありえないでしょ?」


「え? 誰でも同じじゃないんですか?」


「【PU】の隊員たちの殆どは、別に変化してないわよ? 私もあんまり変わってないと思うし、何かコツとかあるのかな?」


「私はもう一人の岩崎さんに『なりたい自分をしっかりイメージして狩りをしろ』って言われたから、こっちの向井さんとオサムさんにもイメージが大事と言い続けましたけど、それじゃないですか?」


「そうなんだねぇ、私もアイドルの写真でも胸ポケットに忍ばせて、眺めながら狩りしようかな」


「あーそれ効果あるかもしれないですよね、オサムさんの変化する姿見てて思ったけど、骨格自体も若干変わってると思うんですよね、向井さんなんか背まで伸びて見えるし」


「よーし私も頑張ろうっと、で、アビスワームだよね、【D47】の三十層の中ボスがアビスワームだよ。レベル四百五十だけどね。砂漠ステージは二十六層から三十層までがそうだよ。氷系の能力使えたら、比較的苦労しないで倒せちゃうよ」


「そうなんですね、ありがとうございます」


 氷系が有効なら、キーちゃんが無双できそうだな。


 どうやら【D47】でしっかりと狩りを続けたら、目的は達成できるかもしれない。この【D47】は二十一層から二十五層までは沼地ステージで、きっと収納バッグの材料も貯めることができそうだ。


 その日は二十一層の様子を見に行って見ると、カエル系の魔物も居たから時間の許す限り棗ちゃんと、TBとキーちゃんと一緒に狩り続けた。


 お陰で俺のレベルも百十まで上昇した。

 この階層は敵のレベルが二百を超えてくるので少し俺達のレベルが追いつくまでは、ここに篭り続けることに成るだろう。

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