第118話 N.Yダンジョン
俺達はロサンゼルスダンジョンを討伐して、休む間も無くN.Yに向かうことにした。
【G.O】を取り出し、乗船を促すとマイケルが質問してきた。
「Hey OSAMU。ユーは何で持ち物も実力も、こんなにクレイジーなんだ? 聞きたい事が山程あるぜ」
「まぁN.Yに着くまでの間なら答えてやる。だが、この【G.O】はマッハ5で飛ぶから、そんなに時間は無いぞ」
「まず一番聞きたいのは、既にロスの街はゾンビだらけだ。さっきのカースキュアはゾンビになってしまった人間を救えるのか?」
「あー死んでなければ大丈夫だが、一度死んでしまって蘇生したゾンビは人間の姿に戻って、死ぬだけだな」
「そうなのか、残念だが殆どの者は駄目だろうな…… それでも人として死を与えてやれるなら、それだけでも彼らは天国に行くことが出来る筈だ。カースキュアはいくらするんだ? 国と掛け合って在庫があるだけ買い取りたい」
「日本の【DIT】が付けた値段基準しか無いが【DIT】の買取額が一本、十万円だ。千ドル弱だな、在庫は八千本程あるが、生きてるゾンビ状態の人間を治療するなら一本必要だが、普通にモンスターのゾンビを倒すのなら、水で薄めて水鉄砲で撃ち出しても十分効果がある筈だぞ。希釈倍率は、効果が出る濃度をそっちで調べてくれ」
「チョット待ってくれ? ゾンビ系のモンスターが相手なら、カースキュアを使って討伐も可能って事なのか? 水鉄砲で子供が吹きかけても倒せるって事なのか?」
「ああ、そうだな? 考えように寄っては一番倒しやすい敵だが、俺は今まで使う事が無かったから在庫が溜まっただけで、Rクラスの薬を作れる確率を考えたら、とても実用性もないし、治療薬として使うほうが良いとは思うがな」
「とにかく、この国の現状を考えれば戦える人間を育てて、防衛都市を構築することだ。ここまでスタンピードで広がってしまったモンスターは、根絶することは不可能だと思ったほうが良いが、日本の【DIT】と協力関係を築けば、生活圏を確保していくことは出来るはずだ」
「OSAMUが手伝ってくれれば、すぐ問題は片付くんじゃないのか? 駄目なのか?」
「俺には帰る家と、待ってくれている人が居る。あんまり待たせると、嫁が怖いんだよ」
「OH…… 嫁怖いは共感するぜ、解った。OSAMUがいるうちに、できるだけ多くの事を学ばせてくれ。それともう一つ、何で俺を知っている?」
「あぁ、まぁ別に言っても構わないか。俺は別の時間軸の世界から迷い込んじまってな。そっちでは仲間なんだよ、マイケル達がな、向こうのマイケルは強いぞ。それに負けない程度にはなれよ」
「そうか、信じられないような話だが、目の前で起こった全ての現象が、その言葉を真実だと告げてくるぜ。解ったマイケルNO1は俺だって見せてやるよ」
「ほうやる気になったな。頑張れよ。特別サービスだ。十二人分の装備をプレゼントしてやる。これを参考に自分たちでも開発しろ」
そう言ってR品のバトルスーツを十二着、剣と槍を六本ずつ出してやった。
「今渡した装備をすぐ装着しろ、そろそろN.Yに着くぞ」
「「「サーイエッサー」」」
◇◆◇◆
【D40】N.Yダンジョンは、階層が深いだけに、溢れ出したモンスター達も強力だ。
ニューヨークから、フィラデルフィアを抜けワシントンD.Cの防衛都市に向かうには防壁が十層張り巡らされ、何とか防いでは居るが、結界構築能力がまだ無い為に、それでもかなり厳しい戦いを強いられている。
ダンジョン発生前に三億二千七百万人を数えた人口は、現在2億人を割り込むまでに減少している。
日本が一億二千万人から四千万人に減少したのに比べれば、比率的には恵まれているように見えるが、アメリカ国内ではダンジョンは僅か二箇所しか出現しておらず、被害度合いは大きい。
◇◆◇◆
【D40】N.Yダンジョンの入口のそばに【G.O】を着陸させ、全員で外に出る。
すぐに【G.O】はアイテムボックスに収納する。
「本当に四十分も掛からずに、L.AからN.Yに来ちまったぜ。すげぇな」と、マイケルが感動してる。
「まぁもっと便利な魔導具もあるんだがな、初めて行く時だけは【G.O】使わなきゃしょうが無いんだ」
ここは敵が強すぎるので、グリーンベレーなどの軍を駐留させる事すら不可能になっている。
「早速、全員で【D40】に潜入する。スライムもゴブリンも大量に溢れている。一層はお前達だけで十分なはずだ、今渡した装備の手応えを確かめる意味を込めてこの階層の討伐を開始しろ。N.Yダンジョンは討伐数の合計だけで、階段が出るから頑張れよ。」
「「「イエッサー」」」
そして一時間程で、二層への階段が現われた。
二層への階段を降りると、L.Aと同様にゾンビステージだった。
「五層に付くまで、俺は討伐に加わらないからな。倒し方のヒントは教えてやるし怪我をしたら治療もしてやる。一撃死だけは俺でも直せないから、致命傷だけは貰うなよ。ゾンビや霊体系統の敵には、治療魔法も有効だ。白魔術師のJOBを持つやつは、治療魔法を当てろ。黒魔術師は炎系統の魔法を使え」
そんな感じで五層まで進み、中ボス戦はレベル七十五の『リッチ』だった。
まだ全員やっとレベル五十の手前まで上がった所なので、ここは少し手強いかな? まぁここはサービスだと思って聖魔法で消滅させて、今日はここまでで終わりにした。
「明日は六層からのスタートだ。お前達のレベル上げもしながら討伐を進行させるから、ペースはゆっくり行くが気を抜くなよ? 今日でみんなレベル五十に届いたから、JOBの習得を取れるところまで取っておけよ」
「「「イエッサー」」」
そして俺は、マイケルに、うまい飯を食わせる所に案内しろと言い、N.Yのダンジョンからも近い防衛都市に行き、馬鹿でかいステーキを奢らせた。
赤ワインも一人一本ずつは軽く開けた。
旧スラム街を内包する防衛都市だが、この時代だと、スラムで暮らしていたような人々のほうが、生活力が感じられるよな。




