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なんとなく歩いてたらダンジョンらしき場所に居た俺の話  作者: TB
アフターストーリー『なんとなく家に戻ろうとした俺が世界を間違っちゃって、強くてニューゲームで頑張る話』

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第114話 理頑張る

 二千二十年八月十五日


 十五分ほど素振りを続けていた岩崎さんは……


「やっぱ無理ー身体が言う事聞いてくれないよ、じっくりランニングとかして体力作りから始めたほうが良いかな?」


 何とも悠長な発言をしている。


「そんな気長な言葉を聞きたくありません。今からすぐ外にモンスター狩りに行ってレベル上げますよ。レベルが上がれば、勝手に体力は付きますから」


「えぇ今から? 身体動かないよ」


 その言葉を聞いた向井さんが出てきて岩崎さんと私に声を掛けた。


「もうへこたれてるのかい? とんでもないグータラ男だねぇ、棗ちゃん本当にこの男で間違いないのかい?」


「間違いはないんですが、まだ体が付いてこないから、発言が弱気なんですねきっと。取り敢えず外に一緒に出ていってモンスターを狩ってレベルを五まで上げてきます」


 そう言うと「しょうが無いから私も付いて行くよ」と言ってくれて、三人で狩りに出かけることになった。


 岩崎さんの軽自動車に乗って豊橋防衛都市の外に出ると、浜名湖方面に向かって移動した。

 防衛都市の外では既に人が住むことは出来ない状態なので、道路も随分傷んできている。


 元はコンビニが在った場所の駐車場に車を停め、三人で車から降りた。


 駐車場もアスファルトがひび割れて、その隙間から雑草が伸びている。

 人が住んでいないとたった八ヶ月位の間で、こんなに荒む物なんだなぁと思いながら、周辺に注意を払う。

 草むらが揺れた、恐らくスライムだろう。


 私は草むらにめがけてファイアを放った。

 草むらの影に居た二匹のスライムが、その場で黒い霧に包まれて消滅して行った。


「棗ちゃん、本当に魔法少女なんだなぁ。俺、めちゃ感動してるよ」


 と、どこまでも他人事のようなセリフを口にした岩崎さんを、スパルタな向井さんが叱咤する。


「次はあんたが倒すんだよ。ちゃんと盾を構えて、身体の真ん中にあるぼんやり赤い核を壊したら倒せるから、やってみな」


「解ったよ。やれば良いんだろ、やってやるよ」


 岩崎さんも覚悟を決めたみたいだ。

 そして刀を構えてスライムを捜した。

 すると私達の声に反応したんだと思うけど、グレーウルフが三匹現われた。

 めちゃくちゃ強いわけじゃないけど、始めて倒すモンスターとしては、難易度高めかな?


 岩崎さんも少し足がガクガクしてる。

 私は魔法を発動しようとしたけど、向井さんがとめた。


「日本を救う男なんだろ?こんな犬っころごときで、ビビってるんじゃ話にならないよ」


 って言いながら、薙刀で一瞬の内に二匹の首を跳ねた。

 血が吹き上がって岩崎さんにも掛かった。

 そこで腰が抜けちゃうかな? って思ったけど、意外に冷静に刀を構えて。


「ババアに馬鹿にされてたまるかよ」


 と、言いながら、まっすぐに刀を振り下ろし、頭を真っ二つにした。

 色々な物が飛び散りながら、黒い霧に包まれて消えて行った。


「あら? やれば出来るじゃないの。本当に日本を救ってくれるのかもねぇ」と、凄い笑顔で言った。


 岩崎さんもスッキリした表情で「婆ちゃんありがとうな、なんか色々吹っ切れたぜ。婆ちゃんに馬鹿にされないように頑張ってみるよ」


 と言って、ちょっと引き締まった笑顔で言った。

 身体はお腹周りとか全然引き締まってないけどね。


 その日は日が暮れるまで、モンスターを狩って岩崎さんのレベルも無事に五を迎えた。

 何度かモンスターの攻撃を受けたりしたけど、私のヒールとポーションで何とか耐えろ事が出来た。


 レベル5を迎えるとJOBに付くことが出来るが、今日はJOBを選ばずに一晩じっくりとイメージを膨らませて貰う事にした。


 ◇◆◇◆ 


二千二十年八月二十二日


 ムンバイを旅立った俺と雪は、次の目的地として上海を選んだ。

 ここも非常に大きな都市だが状況としては、ムンバイよりも酷い。


 ネットで集めた情報によれば出現から十か月を経過して、投入された戦力は十万人を超え、生存している戦力は0、全滅を繰り返している。


 既に上海近郊は完全に無人地帯になっている。

 近郊の大都市はそれぞれに防衛都市を築いてはいるのだが、大規模結界の技術などはなく、鳥型や昆虫型の飛行タイプのモンスターからの被害は全く防げていない。


 地対空ミサイルでは、素早い動きのモンスターを捉えることも出来ずに、余分な被害を広げるだけになっている。


 結界が張れるようになるためには、結界師のJOBか賢者のJOBが必要で結界師で40ポイント職、賢者だと50ポイント職だ。

 恐らく俺と関わりのあった人間以外は誰も到達していないだろう。


 上海の廃墟を眺めながら、和也に念話を入れてみた。


『和也。俺だ、状況はどんな感じだ?』

『あ、岩崎さん。福岡の【D4】と横浜の【D5】を討伐しました。兄貴がD4マスターになりました』


『そうか、頑張ってるんだな。俺はエルサレムの【D13】とムンバイの【D12】を終わらせて、今から上海の【D6】に向かう所だ』

『そう言えば、こっちの世界の岩崎さん側からコンタクトがありましたよ。向井さんともう一人の女の子が一緒に行動してるようですが、妙なんですよね』


『どう妙なんだ?』

『何故か元居た世界を理解してる節があるんです。俺もチップの俺からの知識を共有できてるので向井さんは解るんですが、向こうの世界の向井さんと違って普通にお婆ちゃんなんですけど、もう一人の女の子の名前には聞き覚えもないんですが、その娘が鍵を握ってるようなんです』


『何だと? ちょっと気になるな。上海を終わらせたら一度そっちへ行く』


 雪と二人で上海ダンジョンは六時間程で攻略をして【DIT】の本部に転移で移動した。


 本部の会議室に案内されて、颯太、達也、織田さん、和也の四人と現状の把握を行った。


「早速だが、この世界の俺からのコンタクトがあったという事だが、そこを詳しく聞かせて欲しい」


 和也が答えた。


「岩崎さんは、佐千原さんという女性をご存知ですか?」


「おう知ってるぞ、綺麗なお姉さんだ。向こうの世界では、北九州特区の動物看護師さんだったな、でも二千二十年時点だと、まだ【D特区】あ、この世界では豊橋防衛都市だな。そこのショッピングセンターで働いてる筈だがな」


「ご存知でしたか…… どうやら、その女性は何らかの理由で向こうの世界の岩崎さんの存在を理解しています。その上でこの世界の岩崎さんには、世界を救う素養があると信じて居るみたいですね」


「しかし佐千原さんじゃ、向こうの世界の俺の存在を知っていたとしても、この世界の俺に知識を授けるなんて事は無理だと思うぞ? 東雲さんや鹿内さんだったら話は全く別だが」


 俺の言葉に達也が反応した。


「東雲や鹿内なら別って…… 彼女達は向こうの世界でどんな位置にいたんだ?」

「あー説明は少し大変だから後で和也にでも聞いてくれ」


「一度会ってみませんか? 向井さんと佐千原さんに」

「そうだな。この世界の俺とさえ会わなければ問題はないと思う。今から行ってみるか」


 俺達は五人【G.O】に乗り込み、豊橋防衛都市に向かった。

 俺だけ【G.O】に待機して、颯太達は俺の家に向かった。

 俺の家の前から、向井さんに電話をして出てきてもらい【G.O】船内に案内されて来た。


「岩崎さん。本当にこっちに来てたんですね。会いたかったです」

「って佐千原さん。本当に向こうの佐千原さんなの?」


「はい、環ちゃんと一緒に北九州特区の動物看護師をしていた、佐千原棗です。TBちゃんをチビちゃんって呼んでいた佐千原です」

「おお! お久しぶり。間違い無さそうだね。どうやってこっちに来てしまったんだい?」


 そこまで話した時に向井さんが、話し掛けてきた。


「あんた岩崎さんなのかい? 何でそんなに若いんだい? あんたの歳は四十一だよね?」

「あーそうだよ。大体向こうの世界じゃ婆ちゃんもあれだよ? 七十七歳にして見た目は女子大生みたいになってたからね?」


 その場にいた全員がその言葉を聞いてフリーズした。

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