第108話 2人目の仲間
取り敢えずの活動資金も出来たし、ここから近いところのダンジョンを一つ討伐しとこう。
と思い「【D2】は渋谷で間違いないよな?」と和也に確認した。
「【D2】とはどういう意味でしょうか?」
ちょっとびっくりしたが、この世界ではダンジョンマスターに成れた人物が居ないので、その辺りの知識から不足していた。
「和也は、今からダンジョンマスターになって貰う。既にコアが宿っている状態だから余り変わらないけどより多くの情報を、聞けるように成ると思うからな」
と伝え、早速渋谷のダンジョンに向かった。
スタンピードに因って渋谷はかつての賑やかな街ではなくなっている。
一応バリケードで入り口は囲ってあるが、モンスターにとって意味はないな。
と、思いながら周辺にも溢れたスライムやゴブリンを退治しながら、入り口へ入っていった。
和也に装備を渡し、行けるところまで一人でやってみろと伝えた。
一応雪に九尾の狐形態に戻ってもらって付き添わせた。
一層では問題なく狩りを進めているがここで疑問に思ったことがあったので聞いてみる。
「なんで【D2】すら討伐が終わってないんだ? レベル三十くらいあれば無理ではなかっただろう?」
「この階層だけじゃないんですか?」
【D1】コアのサポートが無い状態では、知識が全く得られておらず、二層以降が存在することすら気づいていなかった。
和也にざっとダンジョンの、事をレクチャーし、各ダンジョン毎に階段出現条件が存在する事や、出現した順に階層もどんどん深くなって行く事を説明した。
うーん、今更【DIT】とかに說明するのも面倒だし、和也と二人で片付けたほうがいいかな。
結局、二層への階段が出現するまで狩り続け、二層へ降りてからは、雪が敵を片付けマスターも倒し、和也がダンジョンマスターへとなった。
但しこの世界では討伐報酬が発生しない。
渋谷の入り口が消えたことで東京では、現在【D19】府中と【D47】六本木の二箇所の入り口だけとなる。
和也には改めてダンジョンマスターとなったことに因る、ダンジョンの基礎知識をコアの和也から学ぶように言付け、俺は颯太に念話で渋谷の入り口の消滅を報告した。
『颯太、俺だ。渋谷ダンジョンは討伐した。明日六本木を討伐するから復興計画は頼むぞ』と伝えた。
『理、ありがとう。それとな、和也だけでなくもう一人くらいは鍛えてほしいんだが頼めるか?』
『まぁ考えておく、人選は俺に選ばせてくれるならだがな』
『それは問題ない。達也の意識が戻って理と話したがっているぞ』
『明日一度【DIT】に顔を出すからその時にでもな』
『解った』
「和也、この世界で拠点を決めたいんだが何処かいい場所はないかな?」
「それなら横田基地とかどうですか? 米軍も国へ引き上げてしまって施設は空きがありますし、確か兄貴が管轄している筈ですから、難しくないと思います」
「軍の基地は殺風景でなんか嫌だけど、贅沢は言えないか。その件も明日話すか。今日はもう一つ攻略しよう。道頓堀に行くぞ」
と、【G.O】に再び乗り込み【D3】道頓堀ダンジョンに向かう。
何ていうか、大阪の街はたくましいな。
モンスターが現れてても、結構普通に人の姿もある。
【D3】道頓堀ダンジョンの入り口に隣接するように防衛都市を作り、入り口見学ツアーまで開催してる。
さすが大阪だな!
【D3】の入り口に入ろうとした時に、コアチップの信長が話しかけてきた。
「わしもこの世界で過ごそうと思う。和也と合コンに行きたいからな」
(信長。お前の人生はその基準で良いのか?)と、思ったが、本人の希望ならそれも又ありかと思い「誰か宿りたい人物とか居るか?」と、聞いてみたら「折角だからわしの子孫に当たるような人物が良いかもな」と、言い出した。
すると和也が「【DIT】の織田さんは確かそうだった筈ですよ」と言った。
織田さんが信長の血縁とは意外だったな。
「信長いるみたいだぞ」と伝えると「会ってみて決める」と言ったので取り敢えず実際に会いに行く事にした。
颯太に連絡をして「織田さんと話がしたい、今から一時間後に行くので会えるようにしておいて欲しい」と伝えた。
大阪から東京にとんぼ返りになったが、取り敢えず【D3】の入り口には転移門を設置して向かうことにした。
【G.O】だと三十分もかからないから別に問題はない。
でももう少し便利にしたいから、後で【DIT】本部に一部屋使わせてもらって、転移門の設置が出来ないか頼んでおこう。
再び【DIT】の本部を訪れた。
すぐに颯太の執務室に通され、そこには既に織田さんが待っていた。
俺は一応の説明をした。
世界は違うが、信長の意識を宿したチップの存在があることを告げ、そのチップを宿しダンジョンマスターとしてこの世界を守る事を和也と共に行って欲しいと伝える。
織田さんは悩むそぶりもみせず、即断で了承した。
外務省出身のキャリア官僚である織田信雄さんは、現在四十三歳だが渋い感じのナイスミドルだ。
確かに信長本人とも雰囲気が似ている。
この歳まで独身だった事もあり、【DIT】の男性陣のなかでは夜の帝王として有名な人だった。
信長も本人と対峙してみて気に入ったみたいで、チップが織田さんに宿っていった。
現在は国内の事だけで精一杯の状態であったために、外務官僚出身の織田さんが受け持つ仕事は比較的少なく、直ぐに同行する事も可能だという事だったので、このまま来て貰う事にした。
立場的には、【DIT】の訓練教官である俺の事務官としての派遣になるという事だった。
ついでに、颯太に「一部屋空き部屋を貸してくれないか?」と、訪ねた。
織田さんが俺と同行するから、織田さんの執務室はどうかと提案され、そこに決まった。
早速転移門を織田さんの部屋へ設置して、これでいつでもここに来ることも出来る。
颯太が話しかけてくる。
「今日一日だけでも色々やらかしてるらしいな?」
と、言われ何の事かな? と思ったが……
「先程、新宿の【DG】から連絡があったぞ、大量のポーションを現金で卸したらしいな? 『エリクサーや万能薬もありましたが鑑定不可能だったので買取出来ませんでした』と連絡が入ったからな。ここで引き取るぞ。但し流石に現金はそんなに用意してないから、理の身分証に特別に口座を連動させる。国が保証するから大丈夫だ。大きな買い物は、デビット機能で行えるからそれでいいだろ?」
「あぁ助かる」と言い、その場で在庫を出した。
「すごい量だな、理が全て鑑定はしているんだろ? 金額は20%割増で百三十八億六千万だな、25%の手数料と税金を引いて百三億九千五百万振り込んでおく。他に売れるものがあるなら、理の持ち物の場合は、一般的な【DG】では無理だから俺に直接言ってくれ」
「あぁ解った」これで当面お金には困らないな。
早速道頓堀に戻ろう。
織田さんの執務室から、転移門で直接、【D3】道頓堀ダンジョンへ戻った。




