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なんとなく歩いてたらダンジョンらしき場所に居た俺の話  作者: TB
後日談SS

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第103話 D特区のダンジョン入り口が消えている?


(島颯太)


 理が居なくなって既に一年が経つ。

 相変わらず俺がランキングの一位に名を連ねている。


 実際どうなんだ? 恐らく無事では居てくれると思うんだが確証がない。


 精々TBが「ご主人様は大丈夫にゃ」と言ってるうちは大丈夫なんだろう? としか解らなかったんだが、ここに来て変化が現れた。


 ダンジョンの入口が消えた。

 おかしな事に誰もが消えた事実を認識できなかった。

 元々入り口の消えたダンジョンはここに設置されて居なかったと思い込んでいた。

 だがおかしい、そんな筈は無いんだ。


 恐らく過去の改変が起こっているとしか思えない。

 時空系の能力で惑わされているのであろうか?


 欠番になっているダンジョン入り口は、転移門で南極のダンジョン本体に繋げ、使い勝手としては問題なく使えているから、まぁいいのだが、今更転移門を設置しなければ成らない事実がおかしいのだ。


 翌日も又、転移門の設置が必要な入口が現れていた。

 これも認識としては以前から入り口がなかったと、誰もがそう思っていた。

 しかし俺は昨日もはっきりとメモに残している。


 ダンジョンの入口は全て揃っていたはずだ。

 なのに誰の記憶の中でも元々無かったと認識している。

 

 それどころか【DIT】の記録上でも、元々無かった様に記録されている。

 三年も前に、入り口が消えて、そのまま放置してあると言う記憶に書き換わっている。


 おかしい、恐らくこれは理が関わっているに違いない。


 と、云う事はだ。


 ダンジョンの入口が消えた日として、人々が認識している三年前の時間に理が存在していると言う事なのか? 確証は無い、しかし他にこの状況の説明がつかない。


 今日も消えてしまった入り口に対して、転移門を設置して【DIT】本部に戻ると、山野から連絡が入った。


「北九州特区の総合動物病院において、動物看護師として勤務している女性に、異変が在ったようです。対象者の名前は『佐千原(なつめ)』二十六歳、過去に【D特区】に居住し、岩崎さんとも関わりのあった女性のようです。症状は、『この世界は自分の世界ではなく、私は違う世界の三年前の日時に存在していた』と言っているらしいのですが、気になりませんか?」


 俺は直感した。

 間違いない、理だ。

 必ずこの現象に関わっている。


「すぐ北九州に向かう。本人と面会が出来るよう手配を頼む」


 山野を伴って、北九州特区に向かい総合動物病院に到着し、応接室に通された。

 そこには対象の女性、佐千原さんはおらず明石先生と野口(たまき)さんの二人が座っていた。


 まず明石先生が、診療内科の医師としての所見を述べる。

 先に、これまでこちらで把握している情報を提示させて頂きます。

 その後で本人を呼びますので、予備知識としてお持ち下さい。


「彼女、佐千原さんの言動に関してですが、何処にも虚偽や思い違いの部分は確認できません。何らかの理由により、彼女が言う通りに別の時間軸にある日本から来たと見て間違いないでしょう」


 そして横に控えていた野口さんが口を開く。


「最近、佐千原さんとは私が一番仲良くお付き合いをさせて頂いていたのですが、見た目に関しては、前日までの佐千原さんと何も変化がありませんでした。しかし言われる内容などから二年ほど遡っての記憶しか無いようで、しかも二年前から三年前にかけての期間の記憶が、この世界の事実と大きく異なっているんです。三年前以前の記憶に関しては、完全にこの世界の事実と突き合わせても、同じだと思います」


 明石先生が、佐千原さんを呼びに行った。

 俺は、自分の頭の中で状況を整理しながら、佐千原さんの入室を待った。

 応接室の扉が開かれ、佐千原さんが入室してきた。

 話に聞いて居た以上に美しい女性であった。


「【DIT】長官の島と申します。佐千原さんの体験を改めて私に話して頂いて構わないでしょうか?」


佐千原さんが口を開く。

「始めましてでよろしいでしょうか? まずお聞きしたいのは、私の記憶の中にも島さんの存在は【DIT】長官としてあります。しかしその島長官は四十代の男性で、今いらっしゃる二十代にしか見えない方じゃ無かったです」


 俺は自分のスマホから過去の写真を検索して、若返り効果が現れるより前、三年前頃の写真を、佐千原さんに対して見せた。

「この写真に写っているのが、三年前の私の容姿ですが、佐千原さんの記憶にある私は、この姿で間違いないでしょうか?」


「あ、はい間違いないです。この方が私の記憶にある島長官の姿です」


「それでは、話を伺わせて頂きます。まずこの世界に現れる直前の記憶をお聞かせ頂きますか?」


「私は、豊橋防衛都市で、防衛団に所属していました。その日は今までにない規模の大きなスタンピードが豊橋防衛都市を襲ってきて、隊長の清水さんの話では、三万体以上のモンスターが襲ってきた様です。私達は千人程の人数しかおらず、最高レベルの清水隊長でもレベルは三十程度で、完全に私の人生はここで終わったと思いました。


 門を開けて防衛団のメンバーが防衛都市の外に出た時に、私達を包み込むように光の壁が展開されて、その直後に空から無数の光の矢が降り注ぎました。そこまでが私に残っている私の世界での記憶です。次の瞬間に気付けば、見たことのない部屋で、私は一人で寝ていました。


 どうしたら良いのか困っていたら、この世界の私の出勤時間を過ぎていたようで、スマホが鳴って、電話に出たらここに居る野口さんからの電話で、状況の説明が出来ないでいる私を心配してくれて、部屋まで尋ねてきて、それから先は明石先生にお世話になりながら、現在に至ります」


「ありがとうございます。大変貴重な体験をされたようですね。恐らく今、私達の世界で一番重要な問題と成っている事に関連している事案だと思われます。佐千原さんは今後私共に同行して頂いて、【DIT】本部にお越し頂く事に成りますが、構いませんか?」


「私が今置かれている状況が、解りませんので、このままこの施設に居ても、お仕事のことも何も知識がありません。島長官のご指示に従わせて頂きたいと思います」


 こうして、俺達は佐千原さんを伴い【DIT】本部に帰還した。

 ヒアリングを繰り返しもう一つの世界の現状を把握していき、三年前時点の日本は只の一つもダンジョンを討伐していなく、理が絶対強者として現われて居た事実も無かった様だ。


 しかし佐千原さんが最初に語った、結界を展開して光の矢をスタンピードに対して浴びせかけた人物。

 それが俺達の世界の岩崎理であると言う確信を俺は抱いた。


 理が現われたなら、佐千原さんが居た世界もきっと大丈夫だ。


 理、頼んだぞ。

 その世界の問題を片付けて早く戻ってこい。


 お前の子供たちもどんどん成長しているぞ。

 早くお父さんの姿を見せてやれよ!


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