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なんとなく歩いてたらダンジョンらしき場所に居た俺の話  作者: TB
後日談SS

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第101話 後日談SS 吾輩の辞書に不可能は無い事は無い

 【ナポレオン・ボナパルト】


 吾輩の辞書に不可能は無い。

 そう思い続けた時期があった。


 ヨーロッパ全土をほぼ手中に収め、フランス皇帝として世界最強の軍を率いて連戦連勝を重ね、この世の春を謳歌した。


 しかし、その時代は長く続くことはなかった。

 突如現われたダンジョン。

 それは我が王宮の玉座に唐突に現われた。

 

 いきなり現われた空間に、近衛の兵を引き連れ侵入したが、そこには子鬼とゼリー状の存在が蠢いていた。

 近衛の兵が、ゼリーから液体を掛けられた。


 煙を上げて、顔が溶けていった。


 マジビビった。


 吾輩はスプラッターとか無理なんですけど、トラウマ何ですけど、ヤバイんですけど……


 ◇◆◇◆ 

 

 吾輩は、自慢じゃないが別に武に優れているわけではない、どちらかと言うと弱い。

 今の地位を手に入れたのは、人を乗せる言葉の力だ。

 吾輩は人をいい気にさせて、持ち上げることは子供の頃から得意であった。


 周りのものは、吾輩に褒められると気分が良いらしく、吾輩に褒められるために頑張ってくれた。

 いつの間にか、周りから持ち上げられるがままに、フランス皇帝へと上り詰めたが、戦ったのは俺じゃない。


 俺の言葉で頑張ってくれた兵士達だ。


 ◇◆◇◆ 


 そして今回も、近衛兵が溶解液で溶かされたにもかかわらず、吾輩の周りの勇敢な兵達が、吾輩を守りながら魔物達へと突撃していった。

 吾輩は内心ビビりまくっていたが、その表情を周りに気づかれること無く、果敢に指揮をとった。


 「突撃!」と叫んだだけではあるが……


 そして、吾輩の優秀な部下が百人程倒された頃に、洞窟中央部に光の柱が立ち上がり、新たな敵が現れた。

 吾輩には解る。

 こいつはヤバイ、絶対無理、モウイヤ、帰りたい。


 だが、吾輩は手に持ったサーベルを高らかに掲げ「突撃!」と叫んだ。

 その言葉で、更に百名の勇敢な兵が死んでいった。


 だが吾輩は叫ぶ「突撃!」

 更に百名

「突撃!」

 更に百名

「突撃!」……


 結局五百名程の兵を突撃させ、ようやくおぞましい敵を倒すことに成功した。

 結果が全てだ。


 吾輩は敵を撃破して、吾輩が生き残った。

 それが全てだ。


 何百名の犠牲が出た? 関係無い、敵は倒れ吾輩は生き残った。


 敵が倒れた事で、洞窟は閉じ、吾輩は玉座の間に戻った。

 総勢五百名を連れて行ったのに、玉座の間に戻ってきたのは、吾輩だけであった。


 まぁ中での出来事が広まれば、それを悪く言う連中もでてきたかもしれないから、ある意味これで良かったかもしれない。

 吾輩さえ、生き残っていれば兵は又集まる。

 吾輩に褒められたいがために。


 脳裏に言葉が響いた。


「【D1】ダンジョンの討伐を確認いたしました。報酬をお受取り下さい」


 む、何か貰えるらしい、フランス皇帝たる、吾輩に相応しいものであろうな?


 その後その時に手に入れたスキルなるものを扱い、余はヨーロッパのみ成らずアジア方面からアフリカ方面、新大陸たるアメリカ方面に至るまで、支配下に置いていったが、それと並行して、ダンジョンと呼ばれる洞窟から溢れ出してくる、モンスターとの戦いも激化していった。


 吾輩が直接戦うわけではないがな!


 吾輩は、ダンジョンコアと名乗る存在から知識を得ながら、JOB、スキル等を次々と修得していった。

 ダンジョンを一つ討伐すれば兵が千人規模で、死にゆく。


 だが、関係ない。

 敵は倒れ、吾輩は生きている。

 それが全てだ。


 JOB煽動家、軍師、大将軍、皇帝、軍神、そして死霊使い(ネクロマンサー)

 吾輩に現われたJOBは自らが戦うためのJOBは何も無い。

 しかし軍団を率いた場合には、最強の軍を率いる。


 吾輩の「突撃!」の声のもとに死していった者たちは、吾輩のネクロマンサーの特技に拠って、再び吾輩のために、敵前に立ちはだかる。


 吾輩は今までに二度の敗北を喫した。

 一度は吾輩の世界にモンスターが溢れ、付き従う兵が死霊兵ばかりになった頃に、スキルの英雄召喚で呼び出したジャンヌ・ダルクと共に訪れた、氷の大地南極【D155】ダンジョンでの事だ。


 近藤勇と名乗る男は吾輩の前に立ちはだかり、「死ぬのとここで暮らすのとどっちが良い?」とだけ聞いてきた。

 

 こいつは、自分が負ける可能性を微塵も考えてない。

 吾輩も負けたことはない。


 戦った事も無いがな!


 そして、何時もの様にジャンヌと死霊軍団に任せた。

「突撃!」とだけ口にしたが。


 その次の瞬間に、近藤は既に俺の目の前に居た。

 刀を俺の首筋に当て、「聞こえなかったみたいだからもう一度聞くぞ。死ぬのとここで暮らすのとどっちが良い?」


 吾輩は迷わず、「吾輩はここで暮らす」と答えた。


 何度も言うが、自分で戦ったことなど無い。

 敵の武器の間合いに入られれば、勝負はそこで終わる。


 吾輩の価値は人を指揮することにあるのだ。


 二度めの敗北は、聖女を名乗る女を連れた、岩﨑理と言う男であった。

 吾輩の死霊軍団をいとも簡単に成仏させていく、聖女が恐らく二人いる。


 しかしこれはまずい、浄化されてしまえば、再び呼び出すことは敵わない。


 まぁ吾輩の配下たる死霊軍団は、吾輩の世界で死んでいった百万人に及ぶフランス遠征軍を全て呼び出せるので1万程度では問題無いが。


 一瞬その光景に目を奪われてしまった。

 次の瞬間吾輩は取り囲まれていた。

 通常であれば、取り囲まれる瞬間には、ジャンヌが救援に入り吾輩に敵の手が届くことなど有り得ぬのだが、


 ジャンヌはどうした? と、思って見ると謎の男と話していた。

 今現在俺を取り囲む連中と同じ格好をした男だ。


 普段なら吾輩が命を下せば敵を殲滅するジャンヌが、その目の前にいる男と融合してしまった。


 残った姿はジャンヌであるが、気配を見ることが出来る吾輩には解る。

 自我を完全に取戻していると。


 どちらにしても、敵が間合いに入ってきた以上はしょうが無い、降参である。

 だが、果たして近藤とこのグループのリーダーの岩﨑、どちらの実力が上なのかは、吾輩の目を持ってしても解らぬ。


 吾輩の立つ位置より遥か高みに存在する。

 きっと、同じ様に一万人を指揮する能力なら吾輩が上だ。


 しかし、彼らは同じ土俵には立たない。

 正確には立つ必要がない。


 吾輩の指揮する一万が十万であっても、彼ら二人のほうが強い。

 軍門に下るしか術は無い。


 少し興味が湧いたので、OSAMUに付いて行く事にした。

 びっくりである。


 この様な快適な世界は存在するのか? 飯も最高にうまい。

 酒も味わったことのないクオリティである。


 吾輩が気に入った酒は、白ワインを蒸留して濃縮し樫樽で十年程寝かせた物だ。

 コニャックと呼ばれる酒で何故か吾輩の名前が書かれてある。


 ナポレオンと……


 OSAMUの世界に来てからは、毎晩必ずナポレオンのブランディーを嗜む。

 非常に満足な時間を過ごせる。


 だがその生活もOSAMUと共に向かった、原初の世界と言われる場所で転換期を迎えた。


 八十七人で向かった原初の世界から戻れたのは二十人しか居なかった。

 しかし吾輩は生き残っている。

 何度も言うが結果が全てである。

 

 吾輩は生き残り、近藤勇やOSAMUは戻ってこれなかった。

 

 吾輩の勝利である。


 だがこの世界の人間は、吾輩に対しての敬意が少々足りない。

 生き残ったメンバーは、一対一ならみんな遥かに吾輩より強いからしょうがないとも言えるが、軍団の指揮能力であれば、吾輩のほうが優れているのにな。


 吾輩は、今狙うべきポジションを見つけ出した。

 関東広域防衛都市に向かうスタンピードが起きた時に、TATSUYAが十万人以上の部隊を動かした。


 ナニソレ、ウラヤマシイんですけど……


 吾輩の指示で動けば、更に能力が上がって楽な戦いができたんですけど。


 吾輩の面倒をよく見てくれる、アンリ・ゴダールと言う人物が居るが、彼と彼の率いる部隊は、吾輩が創設した勲章レジオンドヌール勲章を誇らしげに胸に付けている。


 この国以外の場所でのスタンピードは毎日のように、世界中で発生し続けている。

 ここは、吾輩の素晴らしさを見せ付けるために、少し頑張ってやるか。


 アンリの進言によって、【IDCO】なる組織が日本国外で編成するスタンピード対応部隊の全体指揮権を、吾輩に委託してきた。


 『【DG】スタンピード対策室司令長官』吾輩の新たなる立ち位置である。


 中々見所があるではないか。


 以降吾輩は世界中を飛び回りスタンピードの討伐を行う。

 皆が吾輩を称える。

 そして、最高のコニャックを、吾輩に捧げてくる。


 そして今日も吾輩はサーベルを突き上げ高らかに叫ぶ。


「突撃!」

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