食べ物の恨み
ある町で一人の男が捕まった。
いくつかの傷害事件の犯人だとされながらも、今まで証拠不十分で捕まえることが出来ていなかった男だった。
だが、今回は暴力を振るっているその場を捕らえることが出来たのだ。
いくつかの傷害事件に関して、自分が行ったと認めた男に対して、取り調べを行っていた若い警官は尋ねる。
「お前はいままでに何件もの傷害事件を起こしてきたな。今回の相手も含めて、全員が小児性愛者だということが分かっている。お前は小児性愛者に対してなにか恨みでもあるのか?」
当初男はその質問に対して「あいつらのことは誰だって嫌いだろう」と答えていた。
だか警官の耳にはその言葉が、どうにも嘘臭く聞こえていた。
取調べの間に警官は手を変え品を変えて何度も同じことを尋ねる。するとあるとき男はこう口を滑らせた。
「誰だって自分の好きな食べ物に汚物をかけている奴がいたら殺したくもなるだろう?」