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第2癖 癖の強い勇者パーティーが魔王パーティーを倒すまで に




魔王城の内部、長い廊下を歩く勇者一行を重々しい雰囲気を纏った大きな扉が出迎える。その美しい彫刻が施された黒塗りの扉にクラウスがあまりの繊細さに息を呑む。その一方で俺とアーサーは魔王城のあまりの臭さに鼻を摘む。くっさ、マジで臭い。



「この扉めっちゃ臭くね?」



「それな、俺の親父の足の裏よりもくせぇわ」



「え、お前親父の足の裏の匂い嗅いだことあんの!?」



「まあいろいろとな、嗅ぎたくはねぇけどな」



俺とアーサーが親父の足の裏の匂いについて話しているとリゼロワ、リカルドやクラウスが杖や剣を構え始める



「アーサー、リリア、カイト。扉を一気にぶち破るから俺の力を分けてくれ!」



「えーめんどい」



「…(?)」



「いやー、まァいいけどさ」



渋々と、虫取り網と剣を構える俺とアーサー。そしてなんとなく空気読んでジッと扉を観察しているカイト。扉開けるのにそこまでしなくていいだろ。その時、俺にしては珍しい名案が思いついた。虫取り網を構えるのを辞める



「リリア、何をしている!」



扉に丸腰で近づくとクラウスが心配して駆け寄り引き留めようとする。だがそんなことで俺は止まらない。扉に近づくと俺はその臭くて繊細な扉にノックした



「雪だるま作ろ〜ドアを開けて〜一緒に作ろ〜どうして出てこないの?〜」




俺が突然歌うとシーンと場が静かになる。気まずい。お願いだから出てきてくれ。心配になって扉から離れると静かに、軋むようにして扉が開いた



「やったぜ!開いたぜ!」



「え、嘘でしょ。リリアのあの音痴な歌でもいいの...?」



「さっすがマイベストフレンド!!」



「...?(開いた?)」



「リリアもこういうときは役に立つね」



チームメンバーから一斉に褒めそやされる。ふ、ちょっと照れるぜ。扉の中にルンルン気分で入っていくと視界がシャットダウンした。ん?、どゆこと?



■■■■




リリアがパタリと倒れた(再起不能になった)ところでパーティーメンバー達はさも当然かのように敵の城で、ラスボスの部屋で会議を始めた。



「は〜い、非公開勇者パーティー裏会議を始めます!この度、司会はわたくし、聖女リゼロワが務めさせていただきます!」



「「「(拍手)」」」



「議会内容はこちら!<リリアちゃんが気絶している間、彼女を運べる(抱っこできる)のは誰だ!?>です!」




「へえ」



「そうなんだ」



「つまんな」



「...?(何が?)」



その素っ気なさそうな男共の態度にリゼロワが軽く切れる



「なにを言っておりますの!?カイト以外あなた達興味なさそうな顔してリリアちゃんに欲情丸出しなのは分かっておりますのよ!?」



「何いってんの?それお前もじゃん」



「仲間仲間」



「ツンデレにも程があるぜ?聖女様」



「...?(へ?)」



そのやる気0、意味0の会議にひっそりと、部屋の影に潜んでいた魔王パーティーがおずおずと発言した



「ちょっといい?アンタ達何してるの?」



「リリアちゃん所持権について奪い合ってるだけだから気にしなくていいですの!」



「そうゆうことじゃねぇの、敵陣で何やってるつー話なの!」



この部屋の中で一番マトモだったのは、意外なことに魔王パーティーだった

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