第一話
初投稿!!是非御一読ください!
男は歩いていた。自宅への帰路だろうか、夜も遅く人通りもない小道だ。男の名前は田中、今年で29歳になる。平凡な人生を送り、中堅商社に務める何の変哲もない男だ。独身であり、身寄りもいない。彼は両親の顔を知らない。彼は、疲労を感じながら夜道を歩く。理不尽な上司と高圧的な顧客、職場でのストレスによって、彼の胃はパンク寸前だった。「はぁ…なんなんだよ俺の人生……」誰に言うわけでもなく、呟く。泣き出しそうになるのに必死に耐えて、耐えて…。彼はふと、胸に鈍い痛みを感じた。「ハハ…あまりの寂しさに胸が痛くなってきたな…」これが彼の最期の言葉であった。
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田中の意識が覚醒する。田中はあたりを見回して呟く。「どこだよ」そんな呟きを掻き消すかのようにアナウンスが響き渡る。少なくとも日本語ではないようだが、不思議と田中にはこれが空港のアナウンスのようなものだと理解出来た。そして、田中は改めて辺りを見回す。そこが、空港のような場所だと田中が理解するのに時間はかからなかった。ただ、田中のよく知る空港と異なり、ヒトとは違うナニかがひしめき合っていた。「映画の撮影か何かか?」そんな、決まり文句のような台詞を呟き、田中は自らの最期を思い出す。「そっか…俺死んだのか……」田中は現実を認識した。そして、呆然と立ち尽くした。