計画通りに事が進むと嬉しい
エイプリルフールですね。この更新は嘘ではないですよ。
「先程はどうもありがとうございました。あの叫び声のお陰です。お礼についてはどう致しましょうか?」
用意した椅子に座る目の前の人は、何者かからの狙撃を助けた女性である。
あの後、目立つだろうからと言われるがまま、甲冑の肩に乗せられるがまま、また門の外へ出た。
地面から自分と彼女用の椅子とテーブルを【錬金術】で用意し、座ってすぐに彼女は頭を下げた。
「……お礼とかの話は後にしましょう。色々と聞きたいことはありますが、彼らは何ですか?」
「私の魔法によって動かしている甲冑ですよ。彼らに囲まれた中の物は見えなくなるようになっています。」
外へ出た一番の懸念は解消されたようだ。その性能を知っている者から見れば丸わかりよような気もするが。
「その上、非常に頑丈なのにとっても軽いのです。幼子でさえ持ち上げられる程ですから。今は中に砂を詰めて制御しやすくしております。」
竜の牙も通しません、と満面の笑みで胸を張る彼女。何処からその自信がやって来るのだろうか。
「……そもそも貴女は何者なのですか?」
「そこ、ですよね、はい。まずは、その質問の答えが今回の出来事の核心になります事を留意していてください。」
何者かであるせいで、つまりその地位にいるせいで命を狙われた。今の言葉でそれは間違いないだろう。
「私の名前は」
「いや、言わなくても、大丈夫、です。……多分権力争いの渦中でしょう?」
「っ、わかっているなら」
「俺も、訳あって逃亡者の身です。突っ込んだ首の責任は俺にあります。」
「なら、尚更貴方の命が」
「強情な方ですね。」
自分のせいで相手の命を脅かすことへの恐怖心か、はたまた律儀な性格からか、彼女は食い下がり続けた。
「知り過ぎる事は必ずしも良い結果を生まないのだと、権力を持ちうる貴女が分からない筈はないと思いますが?」
俺がそう言うと、彼女は不満そうな顔で引き下がった。
前世でカスパールに言われた言葉と、よく似たその台詞は奇しくも俺を助けてくれた。
「俺が貴女を守ります。だから、貴女は俺を匿ってください。お礼はこうしましょう。」
「それがお礼になるのでしたら、それで構いませんが……」
こうして、俺は半ば強引に潜伏する身寄りを手に入れた。
18時頃、もう一話更新です。特別ですよ?