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喪失の神医  作者: Crowley
第十章 新人の動向
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基本的に不便は便利を生む種となる

おはこんばんにちは。著者です。

残すところあと三話で百の大台に乗ることができます。相も変わらず、読了時間はそれほど、でしょうがね。

小鬼王討伐。その実感が沸いてきたのはそれから数日後の事だった。


小鬼王を殺したその瞬間こそ勝鬨を上げ、誰もが歓喜したものだ。


だが、それだけで済まされるわけがなかった。そうは問屋が卸さない、って奴だ。


小鬼王が死んだ今、やるべきことは二つ。怪我人の治療ともう一つ。


「【分解】、【撹拌】」


生やした武器を分解して地中全体に広げる。要は隠蔽工作だ。


このまま造り出した武器が、というより鉄が出回れば鉄の価値が暴落してしまう。


それだけならばまだ良い。いずれ発見されて利用されるのだ、それが早いか遅いかの違いだ。


だがこの鉄の塊が俺の予想以上に多かった場合、それは非常に拙い。


「おーい、弩使い殿ー!」

「どこにいらっしゃるのですかー!」


その出回った鉄が思った以上に軍に流れでもすれば、他国から見れば帝国は軍備増強を始めた、と思われかねない。


ひいては戦争の準備をしているのでは等と勘繰られれば目も当てられない。


持ちうる記憶を総動員して生やしただろう武器の全てを地へ還す。


「隊長、ここの先に足跡が!」

「よくやった。待たれよ、弩使い殿ー!」


この数日間は鬼ごっこ以外はそれだけを行っていた。


走っていった追跡者の背中が見えなくなってから、木の上から飛び降りる。


仕掛けられる側から見れば戦争を生み出す種、仕掛ける側からすれば鉄を生み出せるモノ。


そんな立ち位置になりたくはない。それこそ【レイ】の平穏な日常の喪失に他ならない。それだけは避けたい。


そうなる可能性が目に見えて遠ざかり安堵していると、何の前触れもなく肩を誰かに叩かれた。


「へへっ、一番乗りだ。流石俺。」

「ッ、誰だ!」

「お前、人の名前覚えねぇのによく弩がどうとか言えんな?」


背後に立っていたのはあの時膝裏に大剣を叩きつけた斥候、偵察していたときの隊長だった。


周囲には最大限注意していたにもかかわらず、突然現れた彼に警戒していると武装を解き両手を上げて話がしたいと言い出した。


「お前の考えてる事は何となくだが分かってる。あれだろ戦争がどうとか考えてんだろ?」

「まあ、概ね間違いではない。」

「オーケー、俺が話したいのはそれじゃねぇ。討伐証明だとか、諸々の報酬についてだ。」


それから彼はこの数日中に陣で行われた会議の中身について教えてくれた。


俺を探しに出る事、討伐証明は【レイ】の名でギルドに提出する事、その他の報酬は帝都のギルド本部に預かって貰う事の三点だ。


「まあ、金を一時的に預かるとかそういう感じ。必要になったら帝都のギルドで引き下ろせば良いってこと。」

「なるほど、ギルドは銀行の仕事もしてくれるのか。」

「そうそう、振り込みも引き落としもカード一つだ。便利だろ?」


また一つこの世界に詳しくなった。

今後とも我が拙作『喪失の神医』をどうぞ宜しく御願い致します。

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