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喪失の神医  作者: Crowley
第九章 新人の卒業
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十代は人格形成に於いて重要な起点になる

非常に遅くなり申した。

申し訳在りませぬ。

「探索者候補生、レイ。」

「はい。」


名前を呼ばれて席を起ち、ステージに登壇して教官の正面に向かう。


場所はビッグ・ベン擬きの付いた、探索者の予備校に併設されている講堂。


今は探索者基準適合証明書の授与式に参加している。簡易的な卒業式だ。


「レイ殿。貴殿は当校で帝国の定める探索者基準の最低限を満たした。担当教官グロリア・ボアの名に於いてこれを認め、本証明書の授与を以て卒業とする。」


渡された羊皮紙を両手で受け取り、頭を下げてステージを降りる。


卒業式は疎か式典自体大学卒業以来何十年振りだ。……いや、そうでもないな。


この世界には五十音順なんてものはない為、本来ら行の【レイ】が一番始めに来ているのだ。


「続いて、候補生パーシヴァル。」

「はいっ!」


隣に座っていたパーシヴァルが立ち上がり、嬉しそうな笑みを浮かべ登壇した。


「パーシヴァル殿。以下同文。」

「えっ、読んでくれないの?!」

「尺の都合だ、馬鹿者。他のパーティも居るだろうが。」


周囲のパーティからうっすらと笑いが零れる。パーシヴァルは赤面して急いで隣の席へ戻ってきた。


「続いて、候補生トリストラム。」

「はい。」


完璧な所作で立ち上がり、いつもよりも凛々しさ増し増しで登壇した。


「トリストラム殿。以下同文。」

「はっ、有り難く頂戴致します。」


まるで戴冠式のように片膝を付いて証書を受け取った。教官は少しやり辛そうではあるが、概ね満足そうにしている。


「何処かの誰かさんとはえらい違いようだな。」

「くっ、何も言い返せないッ……!」

「続いて、候補生パロミデス。」

「じゃ、行ってくるわ。」


パロミデスはいつもより少しだけ猫背を直して登壇した。教官はそ様子を見て若干呆れ顔で始めた。


「パロミデス殿。以下、同文……はぁ」

「何で俺、溜め息つかれたし?!」

「ったく、式典なんだからもっとそれらしくするべきだろうに。それを全く……はぁ。」


ぞんざいに扱われたパロミデスは降壇しても尚、未だに不貞腐れている。


「続いて、候補生ヴィヴィアン。」

「はいですわ!」


いつも履かないような高いピンヒールを履いたヴィヴィアンは、いつもより胸を張って登壇している。


今日のほんの一瞬の為に着飾りすぎ、目に見えて張り切りすぎだ。


「ヴィヴィアン殿。以下、同文。」

「やった、卒業ですわ!」

「こら、喜ぶのは後にしなさい。」

「これでも中の下ですわ!」


受け取った証明書を掲げながら降壇した。いつも以上に騒がしい。


騒がしい俺達のパーティの授与の後、数パーティの授与を終えて式は全行程を終了した。


特筆すべき【レイ】にとって重要な出来事はなかった。


が、同時に【レイ】にとって大きな人脈と思い出をここで形成したのには違いなかった。

これにてこの章は終わるんですよ。

次は久方ぶりの人物紹介を挟んで次章になります。

少し成長したレイをご覧あれ!


わ、わわ、話数稼ぎなんかじゃ、無いんだからね?



……男のツンデレ程需要無いもの誰か教えて下さい。

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