表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
喪失の神医  作者: Crowley
第九章 新人の卒業
83/167

更なる喪失

お、遅くなりました?

墜落した衝撃で目が覚めたカスパールは、傷を修復しながら誰なのか、と誰何した。


『惚けんじゃねぇっすよ……加護持ちとか聞いてねぇし、わざとその事隠しやがったか……?』

「レイとして生まれ変わった時に得たのだろうが、どこぞの神かは知らん。」


生まれ変わった時、そう言った瞬間に普段細かったカスパールの目は、これまでに無いくらい見開かれた。


『転生した時だと?!……なら奴か?いや、真っ先に賛成してた。なら他の奴……駄目だ、それだと』


一度声を荒げたかと思えば、一気に自分の世界に籠って独り言を呟き始めた。


「俺はどうしたら此処から出られる?」

『はぁ?!出す訳無ぇっすよ!まだ大した無力化も出来て無ぇんすから。』

「そうか…………ッ、プフ、フフ、ハハハハ!」

『な、何が可笑しいんすか?』


カスパールの言い放った言葉の意味に気付いた俺は、思わず吹き出して笑ってしまった。


「それを聞いて安心したよ。()()()()()()が出来てないんだから。」

『それが何なん、すか……ッ!』


最初、訝しげな表情をしていた。だが、無意識に与えていたヒントをわざわざ強調して自覚させたカスパールの表情は、非常に滑稽なモノだ。


我ながら性格が悪いとは思うがこいつにされたことを考えれば、大したことではない。


「俺は初め、この空間はお前の独壇場だと思っていた。……が、思考を読めるとはいえ無力化が必要だったって事は、この空間はお前を絶対的強者たらしめるモノでは無かったって事だ。そしてお前が弱ってる今、その思考さえ読めないんじゃないか?」

『……はは、まさかそんなに考え事してたんすか、悠長な事っすね。』

「馬鹿、今はこの口で話してるよ。」


そう言葉にしつつ【無槍】を心中で唱える。魔力が抜けていく感覚は無い。発動しないのでもう一度唱えてみるが何ら変わりない。


「【召喚】……魔術は大丈夫なのか……まさか、【無属性魔法】が使えない?」

『おいおい、マジっすか。存在の九割でその程度しか削れなかったんすか?!』


透梟(クリアオウル)を胸に抱えている俺を見て、今度もまた驚きを隠せないカスパールは話の整合性の取れない呟きを口にする。


カスパールの中では分かっているのだろうが、心の読めない俺にはさっぱり分からない。


「だがまあ、お前の計画が崩れたのは分かった。」

『……ッ!出ていけ、俺の世界から!』


カスパールの拒絶。それがこの空間を出るための鍵だったらしく、足元が揺らいで落ちていく感覚が全身を襲う。


自分の周囲が黒く暗い闇に包まれる。目を巡らすと全身が鎖で縛られている。


いくら力を込めてもびくともしない鎖に辟易して目を閉じる。


不思議と不安はなく、多分目が覚めれば【レイ】の体に戻っているだろう。


「大事な事だ、もう一度言う──俺はお前(カスパール)を絶対に殺す。」

Twitterでも呟きましたが、先日なろうラジオ大賞2に一本短編を書いて投稿しました。是非是非見て戴けるとありがてぇです。


……口調変わりすぎだろうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ