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喪失の神医  作者: Crowley
第九章 新人の卒業
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自称神の告白

遅くなりますた。少し長めだす。

『自分は元々こっち側なんすけどね?』


嘲笑を浮かべ得意げなカスパールは、俺の怪訝な表情を見てか更に話し始めた。


『自分がこっちで死んだ後、そっちの世界で生まれ変わって先輩に殺されて、またこっちに来た感じっす。平たく言えば転生を二回した感じっす。』

「それでその格好を……神様ごっこか?」

『まあ、本当にごっこ遊びのようなもんなんすけどね。』


ギリシャ神話の絵画にあるような肩で大きな布を留める、よくわからない服を着ている。


無駄に神々しく見えるオーラを放っているのはそのせいだろう。


『いやいや、神々しくもなにもこの世界で神様やってるのは事実なんで。聞いたこと無いっすか?裁定神アストレアって。』


アストレア。前世でカスパールが話していたギリシャ神話に同名の神が居たが、多分聞いているのはそれではない。


『おお、覚えててくれたんすね。無駄口叩いた甲斐があったもんっすな。』

「生憎とこの世界じゃ人里で育ってないからな、有名なお伽噺ですら知らん。」

『えぇー、そりゃあ残念っすね。これでも大神のひとりなんすよ。大出世だったからめっちゃ褒められるの楽しみだったんすけどー。』


明らかな棒読みだ。心にもない事をさらっと言える所は全く変わってない。


……カスパールが、何か変な事を言った気がする。


『人間そうそう変わるもんじゃないっすよ。』

「何故触れない?」

『何がっすか?あ、もしかしてこっちに来て同性愛目覚めたんすか?』

「茶化すな。此処はお前が造り出した空間なんだろ?なら、俺の心を読むぐらい出来てる筈だ。」

『あはは、出来なくもないっすけどそんな野暮な事』

「してる。事実、お前は既に幾つか読んでいる。」


カスパールは目を見開いて驚きを隠す事が出来ていない。心を読む機能も考えものだ。


『マジっすか。全部丸聞こえだったんで腹話術でも習得したもんかとばかり。確かに考えものっすね。』

「丸聞こえ?……なら、何故名指ししたにもかかわらず全く触れる事なく流したんだ、さっきまで疑問だろうが何だろうが拾って話しただろう?」


そう言い放つと、カスパールは眉をひそめ口を固く閉じた。先程までより更に強まる神々しさも今は単なる威圧感(プレッシャー)、悪く言えば殺気のように感じられる。


「お前は前から饒舌だったがそれが増してる。神になった余裕か?」

『……先輩も他人(ヒト)の事言えないっすよ。』


睨み合いが始まった。より強く大きく膨れ上がっていく威圧感。


数瞬の後、最初から無かったかのようにそれが消え失せると、カスパールは謎が解けたような清々しい笑みを浮かべる。


『あー、はいはいはい、なるほど。なるほどねぇ。確かに褒められるのを楽しみに待ってるのは、前提条件に先輩がこの世界に来ることが分かってないと成り立たないっすよね。』

「……ならやはり、お前が俺をこの世界に招き入れたのか?」

『実行班じゃあ無いっすけど、まあその意見に賛成したのは事実なんで間違っちゃいないっすね。』



明日暮は核心に迫ったようだ。

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