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喪失の神医  作者: Crowley
第九章 新人の卒業
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仇との再会

遅くなってすんません。試験が近くて……という言い訳を挟みつつ、今日の更新とさせて戴きます。

孤児院の朝は早い。


比較的年上の子供たちは日が出る前から炊事を始め、院内はスープの良い匂いが漂う。


作り終えた頃には太陽は完全に顔を出す。真ん中くらいの子供達が配膳を始め、年上組が年下の子供たちを起こしに回る。


朝食を食べさせると年中組が食器を洗っている間に、年上組が年下組を連れて洗濯を始める。


その後年上組が村へ働きに出ると、年中組と年下組はそれぞれやりたいことを始める。


庭の木に登る子供や太めの枝でチャンバラを始める子供、院内でかくれんぼをする子供もいる。


だが、それはリィンやフェリスの居ない普段の話。


日中は年上組も仕事を休み年中組と共に彼女らの授業を受けていた。


俺は少年たちに勘違いされたまま逃げられると、院に戻ってパロミデスと共に年下組の相手をした。


そして夕飯はフェリスと年上組に作ってもらい、院の皆と食べ終わると年下組を連れて湯浴みに行った。


湯浴みを終えると、日課なのだというお祈りとやらに連れていかれた。


院の裏手のステンドグラスにキリスト教の十字架に似たエムブレムの画かれた教会だ。


この経営状況では装飾過多な気もするが、それは無視して年下組と中のベンチに腰かけた。


そうして、俺は居るかどうかも分からない神に向けてお祈りを始めた……筈だ。


だが、顔を上げ瞼を持ち上げてみれば、世界が無機質に漂白されている。驚きのあまり驚嘆も声にならない。


見回せど世界は白が延々と続くのみ。しかし、驚くべきはそれだけではなかった。


「元の体……なのか?」


自分の体はあの世界では【レイ】の体だ。


だが今の体は先程迄よりも明らかに手足が一回り二回り太く伸び、肌も【レイ】と比較して日焼けしている。


「何らかの魔法によるものか……?」

『たかが一般人レベルの魔法と同列にすんじゃねぇっすよ。』


そう、背後から聞き覚えのある声が聞こえた。


振り向いて確認した顔は声から予想した通り、よく知る人物だった。


【レイ】ではない、明日暮飛雄のよく知る、前世でよく関わった人物。


『久し振りっすね、魔弾の射手(フレイシャッツ)先輩。今度の名前はレイでしたっけ?』

「何でお前がここに居る、カスパール!」

『何でも何もこの空間は自分が作り出したんすから、居るに決まってるでしょ。寧ろ先輩がお客様な訳っす。おわかりっすか?』


いつか、アーサーに話した前世での後輩の話。


大きな成果と共に多くの犠牲をもたらした忌むべき男。


……そして、俺が自殺に見せかけて絞め殺した男。


「そんなことを訊いてるんじゃない、何故此方側の世界に居るのかって訊いてんだ、カスパール!」

『いやまあ、自分最初っからこっち側なんすけどね?』


その殺した筈のカスパールが嘲笑を浮かべ、俺の顔を覗いていた。

レイは被害者と遭遇したようだ。

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