表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
喪失の神医  作者: Crowley
第七章 夏季の遠征
52/167

偶には実家に帰って親に顔を見せにいこう

御者との一悶着から約四日かけて漸く、ヴィヴィアンの生まれ故郷であるペインハート公爵領、ラクスという街に到着した。


ペインハート……余り良い思い出とは言えないが、起きてしまった事は何どうすることも出来ない。取り返しなどつかないのだ。


「んーっ、はあ。やっと到着致しましたわ!」

「成る程、ここがラクス。ヴィヴィの話や資料で読んだよりもずっと」

「うわー、綺麗な街だね!」

「確かに綺麗だが、珍しい煉瓦の色だな!」

「確かに見たことのない種類の煉瓦だ。」


客車から降りた皆はラクスの街並みを見て感嘆の声を漏らしている。


建物の壁は殆どが深緑色の煉瓦で構成されておりとても統一感がある。遠目からならきっと森と同化して見えてしまうかもしれない。


それほどまでに統一されており、尚且つ深緑の色なのだ。


「この辺の土はとても希少性の高い鉱物が粉末状になって含まれているのよ!」

「……なら、普通の煉瓦よりも耐久性とか高いんだよな?」

「ええ、そうですわ!」


なら何故市場に流通していないのか、とふと浮かんだ疑問点を尋尋ねると、ヴィヴィアンは簡単な事よ、と一蹴する。


「それを利用したい人が地面からその成分だけ採って行ってしまったのよ。少なくとも周囲の地表を剥がしてももう出てこないわ!」

「……成る程、供給源が地下深くになったのか。」


探索者風の男女や木材を担ぐ大工等が街を歩いておりとても活気付いている。ヴィヴィアン曰く普段はここまでではないらしい。


魔物達の暴走をスタンピードと呼ぶのだが、今回はスタンピード特別需要、否、スタンピード特別供給によるもののようだ。


それもそうだろう、普段は市場に出回りづらい魔獣の素材が出回り、探索者だけが使えていた部分を一般市民が使えるのだから。


街並みを眺めつつ歩くこと約十五分。この世界での一般の宿屋とはかけ離れた、日本にあるような旅館に到着した。


これまでの深緑の煉瓦とはうって変わって此方は完全な木造建築。パッと見の外観だけなら武家屋敷のようだ。


正面玄関入口までの道は石畳を敷き、両脇を綺麗なお辞儀をする使用人達が固める。


建物は和風なのに衣服は洋風なのがとても異世界らしい。ヴィヴィアンの話を推察する限り出てくる料理は中華だ。


衣食住がバラバラ過ぎて土地柄もへったくれも無くなり、この屋敷は混沌としている。お辞儀をする使用人達の間を通って玄関に着く。


「ただいまですわ!」


玄関にヴィヴィアンの大きく快活な声が響いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ