座学と実践は全く勝手が異なると実感する
「よし。これから先程受注した依頼を遂行しに向かう。」
「いーやったあ!」
「やったるぞー!」
「パロミデス、パーシヴァル、取り敢えず落ち着きたまえ。レイを見たまえ、落ち着いて微動だにしていない。もっと二人は落ち着きを」
「結局、トリスだって二人の気持ちは分からなくないのでしょう?なら良いじゃない、少しくらいはしゃいだって。」
日頃の森での連携の訓練のお陰もあってか、異例の早さで実戦まで漕ぎ着けた。それでも一ヶ月と半月掛かってしまった。
「はしゃぐのは構わないが、私に言わせれば君達はまだまだ雛だ。探索者としての世界を悠々と飛べるほど立派じゃない。」
普段から明るい教官の諫めるような、否、諫める冷たい声色に一同はシンと静まり返る。
「最弱の魔物と呼ばれる粘覆核でさえ、その身に宿す脅威は動物の比じゃない。舐めたら即座に足元を掬われる事を努々覚えておけ。」
教官の忠告は非常にごもっともだが、この中で理解できているのは一体何人なのか。
教官が受けた依頼は《小鬼の群の討伐》というもの。内容は読んで字の如く発生した小鬼の群を討伐して欲しいとの事。五、六匹らしい。
今俺達は西門を出て少ししたところにある森に入っている。早朝に帝都を出た為早ければ日没前には戻れそうだ。
森の歩き方もコロッセオ擬きで練習した為疲労感はまだ見えない。
「教官、小鬼の足跡を発見しました!」
「パーちゃん静かに。どれどれ……ほう、これはこれは……」
「見間違えでしょうか?」
幾つも連なって泥濘に足跡を残している。間違いない、小鬼の足跡だ。
だが、何かがおかしい。小鬼にしては歩幅が広い気がする。それに引き摺った跡に似たものも残されている。
「……いや、大当たりだ。しかも面白い展開だ。」
「面白いってどういうことですか?」
パロミデスの質問を無視して教官は立ち上がると、不敵な笑みで周囲を見渡す。
「いやあ、舐めた考えの新人に訪れる不運っていうのは、いつ何度見ても面白いなと思ってな。」
教官のサディスティックな一言に合わせるように、教官の意図するモノが暗がりから現れる。
「GYAGYAGYA!」
「「「「GUGIIII!」」」」
「さあ、さっさと片付けて反省会だな。」
現れたのは報告よりも遥かに越える十五匹前後の小鬼達。
その日、森には少年少女の悲痛な嘆きが響いたという。
これで七章は終了となります。2日位してから閑話を挟んで八章始めます。
これ凄い閑話っぽ(ry