自分が出来ても他人には出来ない事はざらにある
「GUGYAGYA!」
「ごめんレイ、トリス!通しちゃった!」
「任せろパーちゃん!レイ、援護頼む!」
「頼まれた。【無盾】、【無盾】」
「【小回復】、【守備強化】……ふっ!」
「トリス、ありがとうですわ!」
北門側の商業区にはイタリアのコロッセオのような建物があり、今俺達はその中にいる。
一体何をしているのか。見ての通り連携の訓練である。
相手は島には居なかった子供程の大きさの人型の魔物、小鬼の数匹の群れだ。
こいつらは新兵の訓練や見習い探索者の連携の練習相手として、駆除がてら軍が近所の森から捕獲してくるのだ。
まあ正直なところ、俺一人でもどうにかなるがそれでは俺も彼らも集団戦闘の練習にならない。
【無盾】で群れのボスまでの道筋を作り、パロミデスにそこを通って仕留めさせる。それが決定打となり群れは瓦解、間も無く勝利した。
「ふう……やっと終わりましたわ。」
「あー、緊張したぜ。てかレイ、お前やるな!」
「……そんなでも無いと思う。」
あれが良いこれが良いと今回の戦闘の評価は上々だったが、あまり良い顔をしないのが一人居る。教官だ。
教官は顎を手で支えるあのポーズでまた考え込む。改善点とその策を必死に考えているのだろう。ありがたいことだ。
「やはり、このパーティはバランスが悪いな。」
「教官、それは攻撃に力を入れすぎているという事ですか?」
「ヴィヴィが守り、パーちゃんとトリスが攻撃し、パロムとレイが随時援護に回る。そして、トリスが軽微な回復と強化をする。」
「わかった!トリスの負担が大きいってことですね?!」
「正解だ。早急に何か手を打たねばいつか致命的なミスへ繋がる。」
回復やら強化やらを教われれば俺が負担出来るものの、トリスも教えられる程上手くないと言う。
単純に自分自身の身体能力を上げるだけならば、【魔力操作】でどうにかなるものの他人に対してはどうにもならない。
使えるには使えるが擬似的なモノな上、慣れていないせいでトリスよりも効果が薄く時間も短い。
教官にその事を伝えると俺の今後の課題になった。
「ヴィヴィは体力をつける事、パーちゃんは動きを予測する事、トリスは戦況を読む事、パロムはもっと動く事を心掛けるように。」
「「「「了解!」」」」




