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喪失の神医  作者: Crowley
第五章 帝国と就職
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新入社員は皆、上司からの洗礼を受ける

↓一体いつの時代の話なんだか。

「ヴィヴィアンよ、基本的に前衛で守備に徹するわ。他二人に負けないように頑張りなさい!」

「トリストラムだ。この魔弓で遠距離から戦う。どうやら君も遠距離から攻撃できるらしいじゃ」

「長いよ、トリス。僕はパーシヴァル、見ての通り赤色が好きさ!」

「俺はパロミデスってんだ。基本斥候だから遊撃に回るぜ。」


教官に連れられて入った部屋には机に座る者、背凭れを前にして座る者、椅子に座るもの、立ったままの者らが楽しげに会話していた。


その四人の男女は俺と教官を見ると各々のペースで近付いてきた。


中々個性的な面々だが、【レイ】にとってこの人と触れ合える環境は望ましいものになるだろう。


「……【レイ】と言う。基本的には銃……弓の亜種で戦うが、魔法と魔術も使える。これから宜しく頼む。」


そう言って頭を下げると、机から降りたパロミデスに起こされる。彼はあまり堅い挨拶等が嫌いらしい。


嫌なことを相手に構わず言う辺り、彼は裏表の無い性格なのだろう。


「うむ。漸く揃ったパーティメンバーだから、まだよく連携も取れないだろう。」

「お、じゃあじゃあ、早速何か討伐に行っちゃいます?!」

「パロミデス、君は早とちりが過ぎるぞ。今の時間を考えたま」

「トリスの言う通りだ。今日はもう日が落ち始めている。今から帝都を出ても野営は避けられず新人の中の新人にはまだ早いな。」

「はい教官!では本日はここでお開きにして親睦会を行うと言うことで宜しいのでしょうか?」


ヴィヴィアンが元気よく手を挙げて発言する。教官は発言を小さく反芻すると良しと頷いた。


「それではヴィヴィの言ったように親睦会を開くとしよう。レイはもう住む場所は決まっているのかね?」

「……いえ、まだ本日の宿すら決まっておりませんが。」

「そうか。確か宿舎は満員だったからな……」


左手で顎を支えて教官が考え始める。絵画にすれば相応の値の付きそうなその姿のまま約十数秒。ハッと思い付いたように言い出した。


「……!そうだ、家へ来い。さほど広くはないが満足に過ごせるだろう。」

「……教官、名に姓が付くならば貴族でしょう。その娘が婚約者でもない男を家に連れ込むなど、見識に疎くても非常識と分かりますよ?」

「両親も住んでいるから安心しろ。それでも気になるなら期間を設けよう。仮にでも収入が入り始めたら退去、これでどうだ?」


どうだもなにも無いだろう。その両親が火消しに幾ら使うのかと考えれば、食事も喉を通らないだろう。


「……言いたくありませんが曲がりなりにも、教官は女性ですよね。幾ら両親が居るからと言えど間違いがあったらどうするのですか?」

「……ほう、この私を襲うつもりなのか?悪いが子供にのされる程、柔な鍛え方はしてない。分かったら大人しくもてなされていろ。」

「……出過ぎた真似をしました。」

「分かっているならば良し。さあ、暮れ時にまた時計塔下で待ち合わせる。」

「「「「「了解!!」」」」」


綺麗に揃った返答だった。

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