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喪失の神医  作者: Crowley
第四章 少年の入国
19/167

再起

新章始めました。

これからの展望を期待したい。

「GGYAAAA………」

「KISHIIII………」

「CASYAAAA………」

「…………クソッ」


飛竜、蜘蛛ような魔物、蛇のような魔物の断末魔が途切れる。


月明かりが照らす中、向かってくる魔物の柔らかい部位を狙い次々に撃ち殺す。


あれから一週間程経つが、俺はずっとこの調子で魔物を殺し続けている。


心と共に屍を積み上げていても、心にぽっかりと空いた穴の虚しさは消える事を知らない。


一段落して胸ポケットから手帳を取り出して中を見返す。


これはリーラの隠していた日記のようで、泣き疲れて眠った翌日に見つけたものだ。


中には俺とリーラとのそれまでの日常が、詳らかに書かれていて過去を追体験するようだった。


不意に全身の力が抜け膝から崩れ落ちる。全身に上手く力が入らない。


目が覚めてから、俺は一睡もせず何も口にしなかったのだから当然の帰結。


初めて魔力を使った時と同様に、【魔力操作】で操り何とか近くの洞穴まで到達する。


奥からは白いぶよぶよとした魔物が、俺の近くまで首を伸ばして臭いを嗅いでくる。


暫く風呂にも浸かってないからか。俺は人間らしい生活を送る事をやめていたようだ。


「全く……俺は何をしてるんだ。」


彼女の居ない世界なら、リーラの居ない世界なら、もう生きている必要はないか。


てっきり喰われるものだとばかり思っていたが、俺から興味を無くしたように外を見る。


「GGYUOOON?」

「飛竜……幼体か。」


高い鳴き声の子供の飛竜が洞穴の外から此方を覗いていた。


ぶよぶよの魔物は首を伸ばして子飛竜の臭いを嗅いでいると、今度は低い似たような鳴き声がする。


「GGYAOOOO!!」

「KSYAAAA!!」

「GGYAAAA!!」

「GYUOOON……」


親と思しき飛竜はぶよぶよの首目掛けて急降下、そして足で首周りを傷付ける。


意志疎通が為されているのか、親の鳴き声に呼応し、子供はぶよぶよに背を向けて飛び去って行く。


飛竜の力及ばず暫くして、親はぶよぶよに食べられてしまった。


「親、か。」


食べられている親を見ていたら、リーラの日記にも親子について言及するものがあったのを思い出す。


『レイにはそばに居てあげる人が必要だろう。万が一私が死んでしまったらどうするかな。その時に心の支えになる人が居てくれるなら大丈夫。だけどもし居なかったら。あの子はきっと』


日記はここで終わっている。


この後何を書こうと思っていたのかは定かではないが、今の状態はリーラにも予測出来ただろう。


リーラの願いは今際の際に言ったように【レイ】には親が必要だ。


「KSHIIII?」

「うっ……すまないが、今晩は世話になる。」

「KSHISHISHISHI」


……もしかして、コイツは言葉が分かるのか?

2020/5/20 前書きの加筆

      章管理の修正をしました

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