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喪失の神医  作者: Crowley
第十四章 新人と希望
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自己犠牲は良いこととは言い切れない

あかりをつけましょぼんぼりに

おはなをあげましょもものはな

ごにんばやしのふえたいこ

きょうはたのしいひなまつり


桃の節句ですね。まあだから何だという話ですが。

部下の二人が荷車の幌を開くと中には少女が二人、小さい体を寄せあったまま倒れている。


良い環境で育ったとは思えないほど線の細い身体が荒い呼吸で震えている。


「結界へ割り込んだ魔力供給はもうほとんどが俺の魔力だ。早く二人を治療してくれ。」

「言われなくとも!」

「勿論ですとも!」

「カイン、アベル。彼女らに胃に優しいものを作ってやれ。」

「承知しました!」

「早急に取り掛かります!」


明らかに変わる態度を見せ、カインとアベルと呼ばれた二人は少女二人をおぶって連れていった。


部屋から四人が出ていくと、俺とイスカンダルは荷車の中へ検分を始める。


「解き方はわかったのでしょう?なら、もう説明するものは無いですが。」

「ここからは単純な興味だ。なに、説明は要らん。記憶して後で考察する。」

「そうですか。」


式を観察するイスカンダルを傍目に検分を進める。


中の式は結界に掛かる部分と召喚に掛かる部分とで二種類に別れており、明確な別れ方をしていないため複雑化している。


とはいえこれを成立させるための式としては無駄も多く、単純化させることもできないことではない。


「ただ腕が悪いだけか、それとも」

「何か別の意図があるか。」

「分かるんですか?」

「失敬な、分かるわけないだろう。」

「はぁ。」

「オレは物の仕組みを理解するのが好きだ。特に魔道具は興味深いものが多い。」


そう前置いて、式をなぞりながら話を続ける。


「何かが阻害されれば代わりの何かが発動する、何てものはない訳じゃない。生け贄を使用するのも分からなくもない。」

「まあ、そうですね。」


床の式の匂いを嗅ぎ、描いた物の材質を確かめている。


「だが、それらと比べてもこの式は複雑過ぎる。もっと単純化させても良い筈だ。」

「それですぐに理解できた訳ですか。」

「しかも、これは血で描かれている。彫ったところに血を流して固めた形だ。」

「奇妙ですね。贄が中にいるのに贄になりそうなもので普通描かないです。描くとすれば」


次の言葉が出てくる前に荷車の全体が俯瞰で見えた。


結界に掛かる部分と召喚掛かる部分と二つに別れている。しかし、それだけではなかった。


重なりあう部分、無駄と思われていた部分、更にそれらも重なった部分。


そして、結界を半球状にするためにつけた傷が意味のない複雑さを時限爆弾に仕立て上げた。


「退けっ!」

「何を!」


イスカンダルを荷車から突き飛ばすと同時に足元が妖しく輝く。


それは召喚に伴う閃光。今この瞬間【召喚術】が発動した。


最も懸念していた、人間を生け贄とした【召喚術】が。

お内裏様って男雛と女雛ふたりの事を指すみたいですよ。

顔が赤いのは左大臣です。


以上、本編とは特に何の関係もない豆知識でした。

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