表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
喪失の神医  作者: Crowley
第三章 少年の喪失
16/167

愚者の選択、賢者の行動

本日は二話更新です。此方は一話目。

本日の24時に更新です

《【レイ】は、スキル【医学】を再獲得した》

《【レイ】は、スキル【医術】を再獲得した》


血が固まらない。毒だ。ズボンの裾を破り取り肩口をきつく締める。


「リーラ、解毒薬はどこにある?」

「あるにはあるが、この毒には効かんよ。」


島には在来種だけで外来種は存在しないし、島の外にはここの在来種は存在しない。


この島はこの世界のガラパゴスだ、非常に都合が悪い。


「じゃあここで死を受け止めるってのか?巫山戯けんな!リーラはここで絶対に助ける!」

「レイ……」


リーラは悲しげに笑うと右手で俺の頬を弱々しく叩く。


「妾は元々精霊だ、受肉しても根源は変わらん。そんなに妾に会いたければ、死んだ後にこの血肉を触媒に妾を召喚すれば良い。」

「馬鹿か!その時のリーラは今のリーラじゃないだろうが!それじゃあ意味が無い!『母』であるリーラは今だけだろ……」


リーラを助ける方法は何かないのか?精霊、受肉、根源、血肉、触媒、召喚……錬成。


「なあ、確か生命は魂魄と身体と精神で出来てるんだよな?」

「そうだが……」

「リーラ、一からお前の殆どを創り出す。」


俺はリーラを小屋の中へ運び込み、家具を一度外に放り出す。


【錬成】は基本等価交換だ。そのため、触媒や原材料が大量に必要になる。


故に生命を創り出すのは非常に困難を極める。


人間や動物でさえそうなのだ、精霊となればそれよりもっと無理難題だ。


が、もし不可能を可能にするような万能の触媒があったとすれば?


「あまり多くを修正する時間もない、さっさと始めるぞ。」

「もう、止められぬのだな?」

「ああ。自分でも狂ってるとは思うが、どんな形になってもリーラは絶対に助ける。」

「ハハ、あんまり異形にしてくれるなよ?」


この錬成陣は本来、【賢者の石】【愚者の金】という様々な魔術の触媒になるものを錬成するものだ。


【愚者の金】は兎も角、【賢者の石】は特に万能の触媒となる。


ならば、元々精霊だったリーラの肉体を原材料として【賢者の石】を錬成。


かつ、同時にその【賢者の石】と魂でリーラの肉体を錬成すれば……何とかなる、はず。


修正するならもう床に場所はない。俺は天井と壁に新しく錬成陣を書いていく。


《【レイ】は、スキル【速記】を獲得した》


神よ、珍しく都合が良いじゃないか。そういうのはありがたい。


新しく獲得した【速記】もフル活用して小屋を立体魔術式へと書き変える。


小屋の扉を閉めて小屋全体を包む結界を掛ける。


「リーラ、準備は良いか?」

「まあ、な。もし、私が死んだら産みの親に顔を見せに行くんだぞ?」

「この期に及んでまだそんな事を言うか。」

「こんな手段を簡単に選ぶようになるのは人間としてどうなのか、とも思うがな。」


言っていることはごもっともだ。


一度殺してまた生き返らせればいいなんて倫理的にどうかしている。


「それでも俺は、リーラを助けたい。」

「そっか……後は、頼むぞ?」

「ああ、任せてくれ。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ