雰囲気はぶっ壊すタイミングが大事
こーんにーちはー!
Switch Liteを買ったよ!
というわけで、遅くなりやした。積みゲーの消費時ですねぃ。
結界の強度が低い部分を探しながら説明を始める。
「そもそも、この荷車はもはや中の人を燃料とした一つの魔道具です。」
「ほう。」
「魔力を注ぐ限り結界を張り続け、途切れた途端に中のものを贄として召喚術を発動する。」
結界に自分の魔力を這わせてみる。連れてきた方がこの様子をしっかりとメモしている。
「例えるなら、水源から流れた水は水路を通り、途中で一つの分岐を経て畑へ水が流れる、というところでしょうか。」
「生け贄から流れた魔力が結界の魔術式に向かっているということか。」
「ええ、そうです。」
やはり、ただの魔力なら結界も素通りするようだ。でなければ中の人はとうに酸欠で死んでいた。
破壊をもたらすものだけを防ぐこの結界は、なかなか高度なものである。どおりで自然回復しても魔力が減り続けるわけだ。
「そして水源が枯れると同時に塞がれた栓を抜き、もう一方に栓をする。」
「畑が荒らされる、つまり結界が破壊されることでも同じことが起きると?」
「ええ、結果が実ることがなくなりますから、必然的に水を流す必要もなくなります。」
すると、何か気付いているのか髪をかきあげて、聞いてくれとばかりに凝視してくる。案外、子供っぽい人なのかもしれない。
「何か?」
「本来なら、そうなのだろう?」
「……お気付きですか。」
澄まし顔だが自己紹介した時よりも自信に満ちた佇まいをしている。
「若様、何かご存知なのですか?」
「ああ。説明してなかったが、これにはドッペルゲンガーが憑いている。これは貴様の使い魔だろう?」
「ええ。」
「と、なれば話は単純だ。──水源を、増やすのだろう?」
「お見事です。」
「……なあ、お前知ってたのか?」
「いや、何も。」
今度は潜ませていたドッペルゲンガーを魔力を纏わせた手で探す。
主君が顎に触れながら完全なキメ顔晒している後ろで小声で話す二人。少なくとも今する話ではないと思う。
「若様、魔力の供給源を増やせば結界も操れるとそういうことですか?」
「そういうことだ。大方、魔術式を調べさせて使い魔を通して中から仕組みをいじるということだろう。」
首肯しつつ、中に入り込んだドッペルゲンガーに式のいじり方を教える。
「あ、半分になった。」
間もなく守っていた結界が半球状に変化する。
「短時間だな。」
「遅いよりは良いでしょう?」
「貴様が一人なら保護したあの時に済ませていただろうに、帝国軍に一応花を持たせてやった訳か。」
「居合わせた一般人に解かれるより招聘した専門家に解かせる方が面子を保てるでしょう。」
「出会ってたかが数分だが、貴様の気に入らんところはそこだけだな。」