表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
喪失の神医  作者: Crowley
第十四章 新人と希望
152/167

最速は必ずしも最強とは限らない

リヒトとホムンクルスが睨み合う。


左足を軸に何とか立っていられる彼女と、元に戻した両足でしっかりと立っている彼。


「……よし。」


一触即発の二人を視界の端に捉えつつ、荷車の中への仕込みを終わらせる。


荷車には防音の結界と、物理と魔法の両方に作用する防護結界がかけられている。


結界自体の強度はそれほどでもない。それこそリヒトがぶん殴れば砕け散るくらいに。


厄介なのは破壊されることがトリガーとなって中の魔術式が、【召喚術】が発動すること。


つまり彼女にとって現状を打破する一発逆転の一手となりうる、何かが召喚されることだ。


「あくまでも、そちらが本命のようだったがな。」

「洒落臭ェ!」


先に動いたのはリヒトだ。首筋から藤壺のような生物をボコボコと生やすと、そこから大量の蒸気を周囲に発生させる。


次第に蒸気は彼女をも包み込み、ここから戦況を確認することが難しくなった。




リヒトと呼ばれていた男は、首回りに藤壺の魔物を生み出して大量の蒸気を発生させた。


それは段々とあたしのところまで届き周囲一帯を包み込んだ。


対象が見えなければあたしの像をずらす魔法も通用しない。


ただでさえ片眼が零れ落ちて、頭から垂れた血で視界が不明瞭だというのにこれでは勝ち筋も見えない。


「迷惑な事をしてくれるね、【瞬閃(レイ)】!」


蒸気の中を動いた人影の頭を一条の光線で撃ち抜く。


ボロボロと崩れ落ちたところを見て、やはり囮であったことを察する。


「どォこ見て撃ってやがんだァ?」

「【瞬閃】!」


背後からの声に、振り向き様にもう一発撃つがこちらも囮。ボロボロと崩れて足下に藤壺が転がる。


主が編み出して教えてくれたこの魔法は詠唱から発動、着弾までが知る限りでは最も速い。


「小賢しいッ!そんなナリでよくもまあこんなこと思い付くもんだ!」

「ハッ、てめェが阿呆なだけだァ!」


故に避けようにもその隙を与えない。その筈だ。


しかし現実はどうだ?動き回る影全てに撃ち込むがそれら全てが崩れ落ちる。


「【瞬閃】!」

「当たらねェなァ?」


背後から襲ってくる人影を撃つ。


「【瞬閃】!」

「おうおう、どうしたどうしたァ?限界かァ?!」


上からかかってくる奴らをを二枚抜きする。


「【瞬閃】、【瞬閃】、【瞬閃】、【瞬閃】ぃいい!!」

「ハッ、無駄撃ちばっかだなァ?!」


四方から群がってくる奴らを同時に撃ち抜いた。


見えないのに聞こえるあの男の声が忌まわしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ