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喪失の神医  作者: Crowley
第十四章 新人と希望
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人が造る命

弾けた上に跳ねて転がった全身の打撲痕が、千切れてボロボロになった服から見える。


茶色い長髪は砕けた頬骨から滴る赤黒い血と泥だらけ。


隙間からは理性を失い濁る残った左の碧眼が、刺すような視線で今から殺してやるぞと物語る。


「死体を殴る感触に似てんなァ。」

「中々外道なことをするな。」

「ハッ、死んでも殴ってくるやつァ殴り殺しただけだ。」


つまり、彼女は死体であると言いたいのだろうか。


不死種の多くは【光属性魔法】は使えない。使えるのはドッペルゲンガーくらいのものだ。


だが所詮彼らは霧状の魔物だ。その身に危険が及べば人の形を崩して身を守ることはできる。


「ククク、あんたくらいの魔術師でも見たことないのね。人造人間(ホムンクルス)って。」

「ホムンクルス……却下だ。」

「はぁ?あたしがそうだって言ってんのよ。」

「いや、こちらの話だ。」


リーラは受肉しているとはいえ精霊だ。ならば復活させるのも精霊の状態の方が良い。


だがなるほど、それならば納得がいく。


「肉や骨を人間の形にしたただの素体に【錬金術】で魂と精神を結びつけた魔法生物だな。」

「何よ、わかってるじゃない。」

「はァ、人間擬きッて訳だなァ?」

「魂も精神も造られたものなら、確かにそうだな。」

「人間味のないあんたが言うんじゃないわよ。てか、人間の腹から産まれてきた奴とどう違うわけ?父親と母親に造られたようなもんでしょ?」

「ハッ、詭弁だなァ。死体と大して変わりゃァしねェんだ。大人しく認めやがれェ。」

「同じことは新鮮な死体でも出来なくはないが、アンデッド化してしまう。そういう点では死体ではないな。」

「てめェはいつまで説明してんだァ?!」


リヒトに一喝されてしまうとは情けない事だが彼の言う通りだ。今はこんな事をしてる場合じゃない。


「【閃光(フラッシュ)】」


先に仕掛けたのはホムンクルス。【光属性魔法】と思われる魔法が視界を奪う。


だがそれで切り抜けられるほどリヒトは甘くない。


「すーッ……そこだァ!」

「ふグッ」


一瞬だけ兎か蛙か、瞬発力のある魔物の脚に変えて彼女へと近づき全力でボディブローを見舞う。


「去ねやァ!」


両腕を犠牲にしつつも何とか衝撃を殺して顔をあげるが、彼女の眼前には棘だらけの右足を高らかに掲げるリヒト。


本来の形へ大きさへと肥大化していく脚で踵落としを繰り出すが、咄嗟に出した右足で跳んで逃げられる。


彼女の四肢でまともに動くのは残り左足のみ。

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