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喪失の神医  作者: Crowley
第十四章 新人と希望
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大抵の揉め事は第三者委員会でどうにかなる

何か前回は予約投稿がうまくいかなかったですね。すみません。恐らく寝ぼけてました。


後書きに今回の内容に対する補足がありますが、読まなくても支障はありません。あくまでも補足ですからね。

夜が明けてから馬車に揺られて進むこと数時間。


街道を進むこの馬車を襲う曲者は現れることなく、遠目に帝都の外周を覆う壁を拝むことができた。


起きてから邪悪な本性を見せることなく、老夫婦は未だ呑気にも世間話に応じている。


「それで探索者になったわけです。」

「はぁ、それはそれは。若いのに大変な苦労をしてるんですねぇ。」

「苦労だァ?んな事てめェに言われる筋合いはねェ!」

「やめろ、リヒト。申し訳ない。仲間が死んで気が立っているんです。」

「ありゃ。こちらこそ気を使えんでごめんねぇ。」

「お気になさらず。」


話をしていると、帝都の西門で厳重な検問が行われているのが目に入る。それは老夫婦から見ても明らかな厳重さだ。


しかし、二人は何の意も介さず馬を歩ませる。見えていないかのように。


「おい。」

「なんだい?」

「後ろに何を積んでんだァ?ここまで来たんだ、今さら隠すこたァねェだろ。」


順番待ちの列に並んだ頃、遂にリヒトが荷車の話に踏み込んだ。


「いやぁねぇ。中を見ないっていう【契約】でこの馬車に乗ってるじゃない。それを見せてだなんてねぇ?」

「俺ァ別に見せろたァ言ってねェ。隠さなくても良いだろッて言ってんだ。口頭で話すだけだァ、なァにが拙い?」

「ほらぁ、レイさんのお連れさんでしょう?彼を説得して下さいな。」


踏み込みが甘かったのか、連れである今まで沈黙を貫いていた俺に助力を求めた。


「貴女が気付いているかは分かりませんが、その【契約】は無効ですよ?」

「何ですって?」


無論、ブラフである。だが、婆さんが気付くことはない。爺さんがしたことであるためだ。


そして馭者台にいる彼がこの話に入り込むことはない。馭者をしていたのはいつも爺さんだった。多分婆さんはできないからだろう。


そして、爺さんが今いなくなれば後ろがつかえ、迷惑が掛かることで通常よりも早く兵士が来る。これは二人の望むところではない。


「ですので、まず貴女達は俺達と口約束をしただけに過ぎません。それ以前に相手の同意無しに【契約魔術】を行使して強制力を働かせるのは違法なので、そもそもこれは契約にすらなってません。」


焦りからか婆さんの微笑みが崩れはじめた。同時に馭者台から爺さんのものらしい歯軋りが耳に入る。


「……ごめんねぇ、何だか少し耳が遠くって。もっと大きな声でゆっくりと話してほしいわぁ。」

「チッ、じゃァいい。この目ェで確かめらァ。」


苦しい言い訳に痺れを切らし、リヒトが立ち上がり荷台へと歩く。


微笑みを消して鬼の形相をした婆さんは、今も必死に頭を捻っているのだろう。


そんなことを気にせずリヒトは一歩、また一歩と歩みを進める。


しかし、諦めるか説得を続けるかという老夫婦の一方的なチキンレースはただ一人の声で有耶無耶になる。


「はい、次の馬車ー。……あれ?聞こえますかー、そこの爺さんだぞー!後ろもつっかえてるから速くしなさーい!」


検問の兵士という第三者の声によって。

補足。

今回の主人公の畳み掛けに、【契約魔術】についての法律の話がありました。その補足をば。

契約者と被契約者との関係が対等の場合は【契約魔術】は行使可能です。貴族対平民であってもそこに売買契約等の理由で使用されているなら対等なのです。

ですが、相手の同意無く行使すればそれは犯罪となります。早い話、現代ならクーリングオフできる案件で、主人公が話しているのもこれです。

ただし罪を犯した者が刑罰として奴隷になる場合。これは相手の同意に関わらず強制が可能です。懲役刑や罰金刑に嫌だは通用しないのと同じです。

また、借金の担保やらで奴隷となる場合も同様です。正当な差し押さえに反対なんてできません。


補足が欲しかったり疑問点があれば、お気軽に感想欄でお聞きください。

まあ、自分自身もこれどうなんだろう、何て考えたら後書きにでも書きますがね。

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