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喪失の神医  作者: Crowley
第十三章 新人と精霊
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子供は悪人と善人の区別を直感的に決める

「ねーねー、何で森で寝てたのー?」

「それは転移の魔術が」

「てんいってなーにー?」

「要するにこいつが魔法の練習で失敗したんだ。俺はこいつと一緒にいて巻き添え食らったってこと。」

「レイさんでも失敗するんだねー?」

「あ、ああ。俺でも失敗くらいする。」


孤児院まで行く道すがら子供たちに質問攻めにあう。


リヒトは意外にも子供の扱いに長けており、このような答えづらい質問にも易々と答えている。


いわれのない失敗を被った事を責めるように睨み付けるが、飄々と知らん顔して子供をあやしている。


「ついたー。」

「お兄ちゃーん、森からレイさんが来たよー!」

「案内ご苦労さん。」

「大丈夫ー。」


ニコニコしながら院の中に走って行く子供を見送り、子供たちのよくわからない行動を諫めたり相手をしたリヒトを見る。


この短時間にここまで印象というものが変化するのかと自分の変わり身の早さに脱帽だ。


「ったく、森で遊ぶんじゃねえって何回言ったら分かるんだ?」

「はーい。」

「久しぶりだな、レイ。んで、そちらさんは?」

「話は勝手にしてろォ。俺ァ適当にその辺ぶらついてる。」

「リヒト。」

「あァ?」

「あまり子供や老人を脅かすんじゃないぞ?」

「俺ァ飼い犬か何かじゃねェぞ!」

「……悪人ではなさそうだな?」

「ああ。仲間思いの良い奴だ。言葉遣いは汚いがな。」

「違いねぇ。」


小さくぶつくさと悪態をつくリヒトを尻目に、俺は久々の邂逅を喜ぶ。


しかし、それも長くは続かない。話題が転換し、何故ここにいるのか尋ねられ正直に答えた。


案の定、パロミデスは両手で頭を掻きむしり頭を抱え深く考える素振りをみせた。


幾秒か逡巡すると、少し窶れた顔でわかったと呟いた。


「なんか、老けたよな。中年味?みたいなものが増した気がする。」

「お前は若そうだな。背が伸びて、えと、そう、凛々しくなった。」

「……すまない。世話をかける。」

「あー、いや。お前の責任じゃないだろ。昔戦場だったっつっても直近の戦争よりずっと昔だ。俺がキレそうになったのはお前じゃない、こんないつ噴火するか分からねぇ火山の上に村と孤児院を置いた馬鹿先祖どもだ。血の繋がりすらねぇけどな。」

「いや、しっかりキレてたぞ?」

「はぁ?」

「言い方が皮肉ってる奴のそれだった。」

「ははっ。要件は理解したし、近々村長とか管理職連中とも説得するわ。」

「なるべく早くだぞ?」

「ああ、絶対な。」


そう言うと、パロミデスは拳を突き出す。俺は意図を汲み取り、二人で拳を付き合わせた。


「何してんだ?」

「こっちの台詞だ。」


子供たちに纏わりつかれて帰ってきたリヒトに話が終わったことを伝える。


さて、今後の予定だがリヒトたっての希望で帝都に向かうことになった。寄りたいところがあるらしい。


「鍛治屋だ。昔頼んでた武器の引き取りにな。」

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