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喪失の神医  作者: Crowley
第十三章 新人と精霊
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作戦名はいのちだいじに

リヒト、ってドイツ語らしいです。

新章開幕ですよ、っと。

グリルの言う転移装置は酒場から出て少し廃城に近づいたところにある墓場にあった。


何故墓守の小屋の地下室にそんなものがあるのかは不明だ。


使えるなら問題ないだろ?などと言うグリルの正気を疑う。……それでも使わざるをえないが。


それに、装置と呼べるほど機械的なものでもなく、幾分か複雑な魔術式を組み合わせたものだったのも不安要素だ。


【魔術王】などと大層なスキルを獲得している俺でさえ解読は不可能だった謎魔術なら、何が起きても不思議じゃない。


「そうは言っても使うんだろォ?なら文句言うんじゃァねェよ。」

「お前は怖くないのか?」

「恐怖なんてもんはガキん頃に喰い殺した。」

「はぁ。そうか。」

「てめェから聞いてきたんだろォが!」


避難誘導は俺と上司に説得されて来たリヒトとの二人で向かうことになった。


子供に彼のような不良みたいな男を会わせて良いものか甚だ疑問だが、グリルの決めたことだし何かあるのだろう。


「んじゃ、送るぞ。到着すんのは帝都付近のどっかだ。帝都に直接ってなことはないけど、なるべく人通りのないとこになるように祈ってろ。」

「ケッ、結局は運頼みかよ。」

「そう、運だ。どれだけ強かろうが運がなきゃ早死にするし、どれだけバカでも運がありゃ大富豪になれる。お前の大好きなギャンブルと人生は似た者同士だぜ?」


案外そうかもしれないなどと思ってしまうほどに、実感の籠ったグリルの言葉にリヒトは辟易としながらもそれ以上は何も言わなかった。


グリルが転移装置を起動させると、魔術式が青く発光し二人の全身を包み込む。


「ミッションは二つ。まずは戦場予定地の村の避難誘導。」


足先から光の粒子に変化して段々と上ってくる。


「二つ目は二人ともが仲良くすることだ。」




瞼の裏からでもわかるほどに燦々と照る陽光。小鳥の囀りが聞こえ、湿った土の匂いが強く感じられる。


「成功、したんだな。」

「それよかさっさと退きやがれ!」


下敷きになったリヒトの怒号で我に返る。小一時間ほど眠っていたのだろう、無理な体勢で痛めた首を擦りつつ状況を確認する。


「ったくよォ、危機感がねェよなァ?知り合いが殺されるかもってのによォ。」

「いや、案外そうでもなさそうだ。」

「あァ?」


顎で指した方向にリヒトが顔を向ける。


走り回る子供達が不意に立ち止まりこちらを指差して話している。


「レーイさーんでーすかー?」

「ああー、ちょっと待ってろー……どうやら到着したらしい。」

「ハッ、マジかよ。」

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