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喪失の神医  作者: Crowley
第十三章 新人と精霊
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知らなかったで済むことと済まないことがある

「俺は、お前を我らが傭兵団にスカウトしに来た。」


その一言に俺は呆然とした。何で俺なんだとか、何で今なんだとかそんなことではない。


探索者にはなった。それは良い。まだ傭兵ではないのになぜスカウトをしに来たのか。そこが問題だった。


「……なんか言いたそうだが黙って聞いててくれ。俺はお前と小鬼王(ゴブリンキング)を討伐するよりもだいぶ前から傭兵共を纏め上げていてな、そん」

「それよりも前に我とグリルは知り合いだったンだ。」

「話に割ってくんな。……んで、お前に一目置いたわけだ。それで探索者とは別でお前を追ってたら、ある女を拉致って欲しいって依頼が舞い込んできてな。俺は渋ってい」

「さいてーだな。」

「割り込むなっつの!……けどお前の進む方向が同じだし、先にお前見付ければやっぱ無しで突っぱねれば良いって考えてだ。俺はその依頼を請けた。」

「にンげンてのはやっぱ金か。」

「前金はたんまり貰ったし、お前を見付けるための根回しで相当使ったからな。拉致った女に関しちゃ送迎する奴を一番の手練れにして、万が一があれば依頼主を殺っちゃえば良いかなと。」

「ゴミカスだな。」

「うるっせぇな。わかってんだよ、んなことは。」


二人の妙な掛け合いに誤魔化されそうになるが、話の雲行きが怪しいく疑問点も多い。この話にはまだ裏がある。


「そんで追わせてみればお前より先に女の方が見付かって、すぐに身柄を確保しようとしたら小細工掛かれて護衛の方に人員割いちまった。」

「マヌケめが。」

「はぁ。護衛が案外強くて女を拉致る頃には団員の殆どが殺られてやんの。」

「雑魚が群れても意味ねーんだよ。」

「雑魚じゃねぇ。これでも帝国内の傭兵団じゃうちは五本の指には入る実力者集団だっつーの。それを一人でどうにかした護衛がえぐいんだよ。しかも拉致ったのは女じゃなくて護衛の方だったんだから笑えねぇ。」

「じょそーでもしてたのか?」

「実際は変装ってか変身の魔道具だったけどな。まあ、ここまで言えば罪悪感ぐらいは感じてくれるだろ?」

「団員を補充する代わりだと?」


請けた己が悪いと言うのに何故こうも厚かましく責められるのか。


謂れがあるとしたら、初仕事だからと張り切りすぎたドッペルゲンガーが悪い。


「使い魔の躾は飼い主の責務だ、そこを放棄するんじゃねぇ。」

「たわけ。おめーがかンぜンにわりーに決まってンだろーが。」

「そもそもが非合法だったんだ、俺を責めるなよ。」

「依頼内容は『連れ去られた大事な巫女を誘か、連れ戻してきてくれ』だ。軍は宗教に関与しないってな事でうちにたらい回されてきたんだ。俺たちは悪くねぇ。」

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