相手の目を見て話せば伝わることもある
ワクチン、打ちました?著者は先日一度目を打ちました。この頃減り続けている新規感染者ですがワクチンの効果が出てきたんですかね?
という話は置いといて、新章開幕です。
男はチラリと俺を見ると直ぐに少女の方へ向き直る。
その男は俺を追っていた探索者連中から抜きん出て、俺を逃がしてくれた人。銃と弩を間違え、自身を隊長と呼ばさせた人だ。
「……いや、元々名前は聞いてない。」
「マジでか!じゃあ後でなっ、と。」
細剣が肥大化した爪に弾かれ男は少女と距離をとる。驚くべき事に精霊とまともに渡り合えている。
「おめー、なンで邪魔すンだ?」
「あんたには今、何が見える。俺か?レイか?」
「憎い敵だけだ!」
その言葉を聞くと、先ほどまでとは打って変わって陽気さが消え、剣呑な雰囲気だけが男を包む。
「そうかい。俺でも見えるもんが見えないんじゃ、あんたの大層な眼も節穴ってこった。」
「いくら凄ンだって二十かそこらのガキに怯まねーよ!」
「はっ、言ってろロリババア!」
罵倒しながら半身になって連続で突きを見舞うが、少女は両腕を亀の甲羅のようなものに変化させこれを凌ぐ。
防がれた拍子に出来た隙に毒蛇に変化させた右腕を、ぐんぐんと伸ばしながら鞭のように振るう。
「見下したガキに一本とられるとは、ざまぁねえぜ!」
首を狙い向かってくる毒蛇を左の逆手に持っていた剣で両断し、慢心していたのも束の間。
「そこまで耄碌してねーよ!」
毒蛇に変化しているとはいえ元々少女の右腕だったもの。
両断された毒蛇は力が抜けたと思わせて、二又に分かれ本命であるレイの首を締め付ける。
目まぐるしく変化する状況に目を白黒させている間に反応が遅れた。
ギリギリと音をたてて絞まっていく首。二又に分かれたせいで男も体に巻き付かれている。
しまいにはネックレスも巻き込んで絞まっていく。しかし【愚者の金】の存在を認めると、絞まりが弛くなっていった。
「……リーラは、まだその首飾りに居るのか?」
「ゲホッ、ゴホッ、……ふ、はぁ、反応はない。だけど、存在は感じられる。」
「そう、か。」
少女は血が出るほど下唇を噛みしめて俯く。魔力の粒子となって伸びた分の腕が消えた。
表情は見えない。ただ、震える肩と零れ出るモノを見れば察しはつく。
「何があったのか聞かせろ。リーラと会ってから、その別れまでぜンぶだ。」
少女が顔を上げる。悲哀と憎悪とあと幾らかの感情をない交ぜにした表情で俺を見つめる。
【レイ】ではない、【明日暮飛雄】を。蒼い瞳で見つめていた。
最近はPVの伸びが良い気がするなー。
評価とかしていただけたら嬉しいなー。
ブクマ増えるほうが嬉しいんだよなー。
ウザいっすね、ハイ。調子乗りました。