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喪失の神医  作者: Crowley
第十二章 新人の反撃
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業を得る

視点は変わりません。

語るバルゴレは口を挟むのを躊躇する程、真剣な眼差しで私を見据えていた。


「年甲斐もなく滾り続ける私の情欲はいつか私を殺す。だが、その運命を変えたのが五神教だ。尤も、そんな事はリリア様には理解し得ないでしょうが。」

「ええ。どれだけ私を苦しめてきたとしても、古巣であることに変わりないですし。そもそも理解しようなどと考えませんよ。」

「はは、そうですか。では次は私から尋ねたいことが一つ。」

「何でしょう?」

「今身に付けているその奇妙な手袋は何でしょう?」


手を見れば手触りの良い黒い手袋が手を覆っている。指の甲の部分には筒が取り付けられ、手のひらには魔術式が描かれている。


「ああ、これは魔術を補佐する手袋よ。魔力を流して錬金術を発動出来るのよ。」

「なるほど。しかし何でまたそんなものを身に付けているので?確か【錬金術】は未取得では?」

「いや、持ってるよ。とっくの昔にね。それに理由はすぐにでも分かる。」

「はあ?そういうもほへふは(のですか)、へ?」


訝しげな表情で聞き返すバルゴレに突如異変が起きる。呂律が回らなくなっているのだ。


へは(手が)はひは(足が)はひはほひへ(何がおきて)?」

「言ったろ?理由はすぐにでも分かると。」


状態の確認の為に口だけを動かしている彼にゆっくりと歩み寄る。


錬成した毒は想定通り手足の自由を奪い去り、表情筋の機能も阻害して頬や下瞼が痙攣している。


バルゴレの容態が急変したことに安心した私は、胸に仕込んだ鋲と結界を停止させその隙間から弾丸を取り出す。


「カスパール曰く、物語の女暗殺者ってのは胸が豊満らしい。そこに武器やら何やらを隠すんだと。」

()はひほ(何を)ひへひふ(言っている)?」


手袋の甲の筒に弾丸を込めながら、俺は指輪に流し続けていた魔力を止める。


「だが、どうやって挟むのか分からない俺には難しかったからな。こんなものしか持ち込めなかった。」


長かった仮初めの髪は光の塵となり、変化していた髪色は絵具が流されるように脱色され、石膏が剥がれるように顔が元に戻っていく。


「美人に殺されるなら、なんて考えてたりしたか?残念だったな。【レイ】は美形だが紛れもない男だ。」


防音の結界を張り、甲の筒を、その小さな銃口をバルゴレの脳天に突き付ける。


「は、はへ」

「理由か?命乞いか?どちらにせよ、俺が答える義理はない。」


中指に魔力を集め雷管を弾く。


弾丸はしっかりと脳天を貫き、白目を剥いてバルゴレはベッドの上で死んだ。


銃声が外に漏れる事はなく部屋の外では洗脳の溶けた侍女の倒れた姿だけが見受けられた。


バルゴレを看取る者は誰一人として居なくなったようだ。

寒暖差アレルギー、なるものがあるらしいですね。とはいえ俗称なので本物のアレルギーではないらしいのですが。

それで鼻をぐすぐす言わせてますが、皆さんもお気を付けて。

以上、最近PV数やブクマ、評価が増えて嬉しい著者ニュースでした。

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