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喪失の神医  作者: Crowley
第十二章 新人の反撃
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給料分の仕事

視点が変わります。

「くそっ、元護衛の片方はどこに行った!」


小さい男は今、弟分が仲間を引き連れて戦っているがあの男は化け物だ。間違いない。


この体に半分流れるエルフの血がそう囁いている。彼は真っ当な人間ではないと。


ハーフじゃなければもっと詳しく分かりそうなものだが、今は分からないことを考える余地はない。


今は女に化けていた方を見付けなければ。


依頼主へ本物を乗せた馬車が戦い始めて少し経ってから見えた。


ただ、弟分が目の端に見えた時に一瞬ニヤついてしまったため、感づかれた可能性がある。


奴らが本物を逃げ切らせる為に俺達を足留めしていたのなら、感づかれた時に向かっている可能性がある。


「うおっ、危な。」


走っている横から仲間の死体が足元に向かって飛んできた。石か何かを投げる速度でだ。


しかも、数十人いた筈の仲間が皆死んでいる。やはりあいつは只者じゃない。


「そろそろ出てきたらどうだ、お前の仲間はもういないぞ。」


死体を投げてきたあたり俺の位置も特定されているのだろう。


俺は大人しく男近くへ行き弟分の様子を見に行く。切断面をくっつければまた呼吸を始めた。生命力の塊だな。


「お前のもう片方の仲間はどこへ行った?」

「近くで魔術を使って潜んでますが、まさか本当に出てくるとは。」

「場所が割れてるのに隠れる必要なんてないだろ。」

「ほほほ、それもそうじゃのう。」


弟分を担ぎ上げながら話していると、隣に見知った老人が落ちてきた。


「翁、もう仕事は終わったのか?」

「ああ、なかなか面白い事になっておる。儂らがされた命令はあくまで連れていくだけじゃ、奴の護衛ではないからの。」

「おい爺、あんた全部知っているのか?」

「ん?儂らはお主と一緒に行動しておった美しい胸の大きい女を連れてこいと言われただけじゃ。全く、あやつは見る目がない。」


翁が仕事が終わった事は分かった。向こうも俺達に追撃する気がないことも分かった。


だが、奴らの余裕は一体どこからやってくるのか。そこだけが分からない。


「なあ、一体どういう」

「ふぁあぁ。お、兄貴。担いでくれてんのか、ありがとう。」

「仕事は終わりじゃ。帰るぞ。」

「はぁ?!俺まだこいつと決着つけてないんだけど!」

「お主の敗北に決まっておろう!心臓も刺され頸も刎ねられそれでどうして敗北でないと言えるのか!」


翁と弟分は基本的に仲が悪い。死の概念が違うこと以外にも気の合わない二人だが、実は甥と叔父だ。それも翁が甥だ。


「仕事は終わった。お前も女の方に向かったらどうだ?」

「いや、主の帰還は待たねばならない。」

「そうか、じゃあ達者でな。」


分からないことは分かっている翁にあとで訊ねるとして、まだ騒ぎ続ける二人を連れて死体の回収を始めた。

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