必要な大胆さもある
さてさて、新章突入でごぜぇやす。
なんの告知も無かったのは「展開的にここで区切った方が良くね?」って思ったからです。
何か良いアニメは無いものか。
「一つ、お話があります。」
「どんな話?」
「今後の行動についてです。」
エディンに入る前に長蛇の列となった検問を待つ間、ついに話を切り出した。
「単刀直入に言うと、俺の護衛としての仕事はいつまで続くのかということです。」
「なる、ほど?」
彼女は何を言いたいのかわからない、という風に首をかしげる。
「貴女の一生を護衛として生きられるほど、俺は険しい人生を歩みたい訳ではありません。」
「つまり、辞めたいのですか。」
嬉しいような悲しいような、曖昧な表情が顔に出ている。
「……そういうことになります。」
「なら、私が追っ手に無惨にも殺されるとしても何も思わないのですか?」
「そういう訳ではないですが。」
ポーカーフェイスの苦手な彼女は曖昧な表情のまま黙る。色々考えているのだろう、目が泳ぎっぱなしだ。
「ここらで敵の本部を叩かなければいたちごっこです。どうにかして潰さなければ、貴女も俺も自由になんてなれませんよ。」
「……あの人は私が囮にでもならない限り、現れませんよ。」
「なら、そうしましょう。いえ、しなければならない。」
俺が死んだ後、【レイ】に護衛をさせ続けるという大役を任せるのは荷が重すぎる。
たとえどんな手段であっても、それが【レイ】にとって良い環境を作る為になるのなら、しなければならない。
それが肉体を借り受けた者としての義務なのだと、俺は考えている。
「幸い、エディンは魔法の国だ。追跡用や防衛用の道具くらいならすぐ揃うでしょう。」
「何を、言っているのですか?」
「今なら貴女を助けるくらい、どうということはありません。」
「何を言ってるんですか?!」
叫ぶ彼女の声に周りの人の視線が集まる。
周囲にバレてしまったということは、彼女の魔術も効かなくなってしまったということ。
「三人、いや四人ですね。」
「何を」
「殺意を向けている人数です。まさか先回りされているとは思いもしませんでしたが。」
こんな人が疎らに居るなかで仕掛けてきたりはしないだろうが、街中なら分からない。
「門を潜るまでにカタをつけたいですね。」
「私達も攻撃出来ませんよ?」
「大丈夫、姿さえ見えなければ殺せます。」
彼女から麻袋を引ったくると、魔力を込めて人の列を通り抜けていく。
後方からの彼女の声も無視して対象に走り寄る。消音器を取り付けながら拳銃を構える。
まずは一人目、背後に回って脳幹に一撃。
前方に二人目、下顎から脳幹に向け一撃。
残りは彼女を中心に反対側にもう二人、仲間が殺られて焦っているのか周囲を見回しすぎだ。
二人は目を合わせ、何か思案しているが関係ない。
直線上に誰も居ないことを確認し、同時に二人の喉に風穴を空ける。
「さ、終わりました。これだけの騒ぎなら数組ぐらい抜かしてしまっても構わないでしょう。」
「……貴方って、意外に大胆なのね。」